子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ お湯は適温、刺激なども特になし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
湯田川温泉に着くころにはまた少し雨が降り始めていた。
さっきまでいた十六羅漢岩や鳥海ブルーラインではあんなに青空だったのに。
到着前にざっと降って、車から降りるときには一時的に上がった。今のうちに入ってきちゃおう。
湯田川温泉は海沿いではない。海から数キロ内陸に入ったあたりで、どことなく鄙びた雰囲気はあるが山の中ではない。
ゴールデンウィーク頃の季節の湯田川温泉は孟宗竹が有名。残念ながら今回は食べる機会がなかったけど。
湯田川温泉の共同浴場はカードタイプの鍵式のため、日帰り利用の場合は温泉街に建つ船見商店という小さな食料品店で入浴料を支払って鍵を開けてもらうことになる。
「入浴券あります。正面湯 田の湯 おひとり様200円」の看板が出ている。
正面湯は正式名称は正面の湯と言うようだが、実際の共同浴場の入口に掲げられた看板も「正面湯」なので混乱する。
ちょうど私たちの他にも男性の入浴希望者がいて一緒に受付をしてくれる。船見商店のおばちゃんは、鍵を持った従業員?家族?が見当たらないと言って、店の外に出てきょろきょろして、それから「○○ちゃーん、○○ちゃーん」と大声で呼び始めた。
呼ばれた当人はすぐに戻ったようで、おばちゃんは私たちにこっちよと手招きして歩き出した。
ここは鍵を貸し出すのではなく、共同浴場まで案内して、その場で鍵を掛けてもらう仕組みなのだ。
なお、上がる時は中から自由にドアは開けられる。正面湯と田の湯の両方に入ろうと思ったら、一ヶ所入った後にもう一度船見商店に戻り200円を払って、もう一度案内してもらって鍵を開けてもらわなくてはならない。
正面湯は船見商店の道向かいで数軒先。びっしり建物が立ち並ぶ一角なので近づくまで目立たないが、重厚な瓦屋根の立派な建物だ。
玄関上に掲げられた看板の「正面湯」の文字がきっちりした楷書体なのが印象的。
軒下に青銅の鐘が下がっていたり、入口を潜って振り返ると注連縄が張られていたりした。
正面湯はむちゃくちゃ混んでいた。浴室もだけど脱衣所も大勢人がいて、脱ぐ場所が無くて入口に近い隅の方で縮こまって脱いでいたら、地元の人がそんなところで脱いでいるとドアが開いた時に見えちゃうからもっと中の方に入れと脱衣棚の前に招いてくれた。
みんなとっても親切。
ちなみに今回の旅行で岩手・秋田あたりの温泉や旅館で会った方々は、みなさん親切なんだけど向こうからは話しかけてこないことが多いし、こちらから話しかけても話が長引かないというか、どんどん話を膨らませてあれもこれも言ってこない人が多いように感じたんだけど、山形辺りまで南下してくるとそうでもなくなった。
中はタイルの四角い浴槽が一つ。左右に洗い場がついていて、正面の壁側に黒い石の湯口。
お湯は無色透明。たまに黒と言うか灰色の羽毛のような湯の花があった。適温ぬるめ。肌触りはきしつきが激しい。
とにかくもう浴室内も人が多すぎ。全部地元の人みたい。
洗っている人も湯口の近くが特等席みたいで、湯口から直接お湯をくんで洗うのに使う。空くとすぐに他の人がそこを占拠する感じ。ただみんな譲り合うので長くはそこにいない。
優しい感じのお湯でどこか微かに甘いにおいがする。
ぬるめのくせに猛烈にあったまる。しかもそれが持続する系。
脱衣所におしゃべりして長居をしすぎないようにとの張り紙があったけど、わかる。完全に社交場としてみんな長居してる感じ。