子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★☆☆☆ 泉質★★★★☆
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★☆☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
かみのやま温泉の七つの共同浴場の中でも葉山地区にある寿荘だけは中心地から離れており、建物も一見温泉街の外湯には見えない。
その建物は最初は寿荘だとわからなかった。
というのは、建物の入り口上部に書かれていた文字が「上山市老人福祉センター」だけだったからだ。
玄関横を見て、ようやく「上山市老人福祉センター 寿荘」と「上山市社会福祉協議会 ディサービスはやま」の二枚のパネルが上下に貼られているのを見つけた。
どうもここは、上山市老人福祉センターであり、寿荘であり、葉山共同浴場 壽荘であり、ディサービスはやまでもあるようだ。
他にもかみのやま温泉の他の共同浴場と違うところがあった。
ここだけは入浴券の自販機ではなく入り口の受付で料金を支払うようになっている。
受付の中は事務所のようになっていて、ちょっと群馬のレークサイドゆうすげを思い出した。あそこも別名老人休養ホームだっけ。
受付でお風呂は突き当りを左ねと教えられて、ショートブーツをぬぎ、中に入った。
中からは幼稚園か小学生ぐらいの子供たちの賑やかな声が聞こえてくる。ディサービスの方で子供たちを呼んでイベントか何かやっているらしい。
目の前はソファーが置かれたスペースでおじさんが一人新聞を読んでいる。
ソファーの辺りまで進んでから言われた左側を見ると、短い廊下があり、あまり浴室らしからぬドアが二つ並んでいた。
そもそも表示が「浴室」や「お風呂」じゃなく「男子脱衣室」であり「女子脱衣室」だった。ドアの正面まで行って、ようやくドア自体に浴室の文字を見つける。
脱衣所も浴室も無人だった。
静かな脱衣所に浴室から湯口からと思われるお湯の音だけが響いてくる。
脱衣所は車いすでも入れるように広くスペースが取られていて、隅にヒーターと古めかしいマッサージチェアが置かれている。
お風呂は長方形だった。
左右両方に手すりがついていて、黒い石の湯口には塩の塊のような真っ白な析出物がこびりついていた。
お湯はやっぱり無色透明だ。
先ほどの新湯澤の湯共同浴場では上山地区1号2号3号源泉の混合泉を集中管理して使っていると記載されていたが、ここはどうやら3号泉を単独使用しているようだ。
また新湯など他の共同浴場では加水使用しているのに対し、加水・加温・消毒はいっさい行わずシンプルな掛け流し使用をしている。葉山は他の共同浴場と離れているから、他の共同浴場とちょっと違うお湯に会えるかもしれないと思っていたので嬉しかったりする。
掛け湯をした時はかなり熱いお湯だと思ったが、入ってみたら全然熱すぎなかった。
慣れるとかそういうのではなく、誰も入っていなかったので表面だけが熱く下は適温だったようだ。
強いきしつきがあり、どことなく石の臭いというのだろうか、そんな臭いが漂っている。
浴槽の縁が御影石で、中がタイルというのは新湯の共同浴場と同じだが、ここのお湯は硬いのに柔らかいような相反する不思議な感触があった。
温まり感はそれほどでも無かった。割とスーッと冷める感じ。でも少し経つと中からじんわりと温まってくる。
帰る前にトイレに寄ったら、流しのハンドペーパーにディサービス専用と記載されているのが目に入った。寿荘のお客さんは使用してはいけないらしい。
確かに浴室ゾーンとは別に、トイレから反対側の廊下をのぞくと、カーテンで仕切られた廊下の奥は「ディサービスはやま」と記載されていて、関係者以外立ち入ってはいけない雰囲気だった。
お風呂上りはもう子供の声は聞こえず、職員らしい男性が一人、トレイを持って廊下を行き来していた。