子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★★☆ 泉質★★☆☆☆ 湯温は適温、強塩泉で長湯に注意、傷などあると結構しみる
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★☆☆ おむつ児は入浴不可(貸切風呂は可)
子連れ家族のための温泉ポイント
東京の板橋区というのはやたらめったら商店街のある町だ。
東京の下町というと浅草などのある東の方をイメージしがちだが、意外に北西の板橋区は下町風情を残している。ご近所さんは何代にも渡って住み続け、二世帯三世帯の住居も多い。
東京近郊の日帰り温泉は主に、昔ながらの温泉銭湯、高級さを売りにするゴージャス系、そして近頃新規オープンの相次ぐスーパー銭湯系の三つに分類されるが、
今回のさやの湯処オープンで、板橋にはその三つが揃うことになった。
すなわち町の温泉銭湯のときわ健康温泉、 ゴージャス系の板橋温泉スパディオ、そしてこの、スパ銭のさやの湯処の三つだ。
町の商店街にもクリスマスソングが流れ、夜にはイルミネーションがきらきらするこの季節、オープンしたばかりの前野原温泉さやの湯処を訪ねてみた。
さやの湯処の「さや」というのは「清(さや)」の字を当てる。水の流れや木のそよぎをイメージして名付けられた。
住宅街の中、坂の下に位置し、大型スーパー イズミヤの正面で、都内とは思えない広さの駐車場を設置している。
昨日オープンしたばかりの館内は清々しい木の香りがしていた。
靴箱の鍵で最後に精算するシステム。
入って右手が食事処「柿天舎」、左手が浴室と休憩室になる。
内風呂は様々な圧注浴の浴槽と電気風呂、水風呂などがある。こちらには温泉水は使われていない。
露天風呂は変形ひょうたん型の大きな浴槽と、三つ並んだ壷風呂、そして一番奥に寝ころび湯がある。こちらは全て温泉使用だ。
中でもひょうたん型の小さい方の浴槽は掛け流しの源泉浴槽になっている。
他の浴槽が全て黄色がかった透明なお湯が張られているのに対し、ここだけは底はおろか沈めた腕さえ全く見えないような強い濁り湯。色は濃い橙色と茶色の混じったような感じ。
都内の強塩泉の高張泉でよく見られる色あいだ(注 これはオープン時の汲み上げ当初の色の感想であり、現在は鮮度にこだわりずっと緑色が強くなっている)。
入った瞬間、磨いた鉄かアルミニウムのような金属臭。
湯口の辺りには華やいだ灯油のような臭いとわずかに出汁の臭い。
味は塩辛い。程良い苦みもあって料理に使ったら美味しそう。
肌触りはきしきし。乾くとぴりぴりちりちりと痛みを感じるほどつっぱる。
41度の源泉をかなり加熱しているので、源泉浴槽の回転は早い。よく温まるお湯なので、みんな入ってもすぐに出てしまう。まだ施設の知名度が低く空いているせいもあり、ほとんど独占状態だった。
一緒に行った幼稚園児の娘は壷風呂と寝ころび湯が気に入ったようだ。
湯上がりは食事処 柿天舎で十割蕎麦のせいろ。
柿天舎は建築家 降幡廣信によるデザイン、また、その周りを取り囲むように作られた日本庭園は作庭家 小口基實によるデザインとのこと。
柿天舎には昭和の木造建築を活かした窓際の座敷席と、やはり昭和のイメージを残した洋風サロンのテーブル席とある。
狭いスペースによくこれだけ凝って作ったなという印象。
せせらぎの音をわざわざ人工的に流しているのは行きすぎの感もあるが、落ち着けるスペースになっている。
入ってくる人、入ってくる人、口を揃えて「素敵ねぇ」と感嘆のため息をついていた。
都内で平日800円台の料金。
今はまだ空いているが、遠からず相当な人気施設になると思われる。
すぐ近くの豪華系日帰り温泉スパディオの動向が気になるところ。
2015年6月追記
最近は掛け流し浴槽のお湯の色は茶色っぽかったオープン当初よりも緑色になっている。さやの湯処のパンフではうぐいす色と表現されているが、渋めの緑の濁り湯だ。
相変わらず金属のにおいの強い濃い食塩泉で、都内の日帰り温泉としてはお湯遣いも非常に良い。
やっぱりここはお勧め。