子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質 ★★★★☆ 熱いお湯もあるので注意。墨の湯は深さが判りにくいので注意。
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ 日帰りでも自由に貸切家族風呂が使える
子連れ家族のための温泉ポイント
塩原温泉郷の元湯温泉には三軒の旅館があるが、大出館だけは斜面の上に建っているため、残る二軒の元泉館、ゑびすや前から外観は見上げることができるが、アクセスはぐるっと回って一本上の別の道から行くしかない。
こちらの温泉は墨のように黒い墨の湯と、エメラルドグリーン、乳白色、灰色まで日によって色を変える五色の湯がある。
墨の湯は混浴、五色の湯は一部混浴だが女性専用のお風呂や貸切風呂もある。面白そうだと思って立ち寄った。
私たちの前に既に1台車が停まったが、その後も10時の立ち寄り開始時間前には何台か追加。人気だ。
受付を済ませたらさくさくと浴室に移動。
廊下を進むとまずあるのが貸切家族風呂藤の湯。
次に「混浴」の暖簾。混浴の内湯平家隠れの湯と御所の湯、さらに露天風呂の岩の湯に出られるようになっている。
夫はそちらを見に行ったが、私は迷わず墨の湯を目指す。たぶん大出館に来たらそこは絶対入らなきゃいけない気がする。
墨の湯は一番奥だった。
順番的には貸切家族湯(藤の湯)、混浴(五色の湯(平家隠れの湯+御所の湯+岩の湯))、女湯(五色の湯(高尾の湯+子宝の湯))、墨の湯(墨の湯+鹿の湯)と並んでいる。
墨の湯一番ゲットーと思ったら、ほぼ同時に来たお兄さんが、女性が入るなら後にしますねと気を使って他のお風呂に行ってくれた。
一応大丈夫ですよ、どうぞお入りくださいって言ったけど、でもありがとうございます。申し訳ないです。
急いで浴室に入ると、年季の入ったそこには二色の浴槽。右が黒い墨の湯、左が茶色混じりの渋めの緑の濁り湯の鹿の湯。色の対比が面白い。
追いついてきた夫が温度を確かめて鹿の湯はとても熱いと言って墨の湯に入った。私も墨の湯に入ってみる。こちらは適温ぬるめ。
確かに真っ黒だけど、都内にあるようなコーヒーとかコーラみたいな黒さじゃない。
黒い消しゴムかす湯の花が大量にあるので黒く見える感じ。足などは透けて見える。
私たちが入ってすぐに一人、さらにもう一人男性客が入ってきた。
さっきの気を使ってくれたお兄さんじゃない。
まあこっちも既に濁り湯に入っているからそんなに不安は無かった。さっきのお兄さんには悪いことしちゃったな。
入ってきた一人は大出館の常連のようで、今日は墨の湯の黒が薄い、足が透けて見えるなんて、こんなに薄いのは初めて見たと言った。
さらにいろいろ聞くと、墨の湯は雨が降ると色が濃くなる傾向があるとか、隣の緑の湯も黒い日があるとか教えてくれた。
彼は大出館に来るときは同じタオルを持ってきて、どこまで黒く染められるかチャレンジ中なのだそうだ。
特に湯上りのバスタオルが黒くなるんだよねって言っていた。
昨日は混浴で嫌なこともあったが、今日の大出館は混浴でもリラックスして入れた。
コップがあるので墨の湯を飲泉してみる。
最初はいきなりミントの香りがして「えっ」と思う。
ゆすいでもう一度汲むと、ゆでたまごのにおいになった。
誰かこのコップで歯磨きしたんじゃないかしら?
夫は墨の湯を上がる前に隣の緑のお湯、鹿の湯にも入ってみた。
相当熱いのに普通に入っているので他の人もびっくり。よく入れるねと言われる。ホントみんなぬるいの好きだね。
夫曰く、表面は熱いけど入っちゃえばそうでもないと言うので自分も入ったら入れた。
熱すぎてすぐに出るというほどでも無かった。
タオルを黒くする気は無かったのでこちらで少々黒い湯花を落とすつもり。
こちらのお湯は腐ったゆでたまご臭が強い。
肌触りはするする滑る感じ。
こっちも湯口にコップがあったけど、流石に湯口近くはもっと熱そうだったので近寄らなかった。
そのあとは混浴の五色の湯へ移動。
ここは内湯に大小の浴槽(大は御所の湯、小は平家かくれの湯)、と露天風呂(岩の湯)がある。
夫が露天風呂は誰も入っていないと言うので内湯は早足にスルーして、露天風呂に来た。
綺麗で眺めの良い露天風呂だ。
墨の湯と違ってリゾートホテル風。
内湯から石段を何段か降りて、高台から林を見下ろしている感じ。
墨の湯の黒い湯の隣の緑の湯より鮮やかな感じの翡翠色の濁り湯が入っている。
腐ったゆでたまご臭は墨の湯の緑のお湯と同じくらい強い。
温度は適温。
ここもコップがあり、飲んでみるとものすごく苦い。えぐい。薬っぽい。一言で言うと不味い。
しかもにおいが腐っている。飲めないことはないけど。
脱衣所の男性が入ってきたのと入れ違いに出て、今度は女湯へ。
女湯は五色の湯の混浴と露天風呂はほぼ同じような作り。ただし内湯の浴室はかなり古そう。タイルがはげかけていたりお湯の成分で茶色くなっていたりする。
足の悪そうなおばあちゃんが一人、内湯に入っているだけ。
まず露天風呂に降りてみる。
作りは混浴と同じだが、お湯はしばらく誰も入っていなかったからなのか、微妙な泉質の違いなのか、翡翠色のお湯の表面一面に白いカルシウムの膜のようなものが浮かんでいた。
ちょっと木々も色づいていて非常にロケーションがいい。
手触りはするすると滑るよう。
においは強い腐ったゆでたまご臭。
味はやっぱり苦えぐい。まっずー。
内湯に戻って、やっぱり女湯も内湯の方が白っぽい。緑がかった灰色という感じの色だ。
上がったら夫も上がっていて、このまま帰ろうと思ったけど、貸切家族風呂は30分以内でという張り紙を見つけ、もしかしてこれ、予約制じゃなくて自由に使っていいのかと気付き、ここも入っていくことにした。
空いてますの札を入浴中に返す。
貸切風呂は露天は無いものの綺麗な作りで、3人ぐらいが入れそうな浴槽が一つ。
お湯は他の五色の湯と似ているが、ここだけ白い消しゴムかす状の湯の花がいっぱいあった。
たまに黒い湯の花も混じっている。野沢温泉みたいだな。
肌のするするする感じも他の五色の湯より強く感じた。
コップで源泉を飲むと、ここは苦い中にわずかに酸味もあるような。
というわけで大出館を堪能。
旅館3、4軒分ぐらい楽しんだ気がする。
[2016年1月追記]
大出館のご主人に電話でうかがう機会があったので、少し大出館の源泉に関して追記しておきます。
大出館の源泉は裏山で複数の源泉口から自噴している物を集めて湯船に注いでいるそうです。全部をひとつに混ぜて使っているわけではないのでそれぞれの湯船ごとに個性が出ますが、基本的には黒い墨の湯とその他の五色の湯の二種類という認識で考えているようです。
雨が降るとお湯が黒くなるという話は浴室で会った常連さんも話していましたが、本当に黒い日は全浴槽のお湯が黒くなっちゃうそうで、それはそれで見てみたいです。
なお、硫化水素の為か本当に電化製品の保ちが悪く、テレビも冷蔵庫も自動販売機すら1年が寿命だとか。この電化製品泣かせの環境は、他の塩原元湯温泉の宿と比べてもぴか一らしいです(嬉しくない)。
そしてそれが理由で、大出館には未だパソコンも無ければ、それ故インターネットも繋がっていないんだと仰っていました。
うーむ。苦労が多そうですね。