子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆ お湯は熱め、塩泉なので長湯に注意
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
坂の途中にあって、外観は古いという印象だけ。少しくたびれかけた昭和の建物のようで、それほど目立たない。入り口に「掛け流し」の幟が出ていなければ、うっかり通り過ぎてしまいそうだ。
それが一歩中に入ると別世界。レトロはレトロでも昭和初期か大正時代まで遡れそう。もう映画のセットだと言われても不思議はないほどの超レトロ感満載。とても時代がかっている。熱海って面白いなぁ。
そのうえ入浴料が安い。ひとつ前に入った清水町共同浴場より安い400円。
受付を済ませて浴室までの館内の様子にも見惚れるばかり。どれもこれも使い込まれていい感じに年月を感じさせる。
しかし一番驚いたのは脱衣所のドアを開けたとき。まさに"文目(あやめ)も分(わか)ぬ闇"。本当に暗くて、人生でもここまで暗いところを見たのは久方ぶりだったような。東京に住んでいると何もかもどこかしら明るいからな。
令和の時代にこんなに暗い室内があろうとは。明かりのスイッチを見つけるまで恐怖を感じるほどに暗かったよ。なんにも見えん。
脱衣所も浴室もやっぱり時代がかっていた。2、3段ほど階段を下りて入る浴室は意外にも大きく、浴槽のサイズもやはり大きかった。奥の方にもう一つ空の浴槽のようなものがあったが、そちらは何も入っていない。
年代を感じさせるタイルが可愛い。窓があるが色褪せた色ガラスのようなものがはまっていて、その外側は見えない。そもそも外とつながっている窓なのかもよくわからなかった。
お湯は清水町共同浴場とよく似ている。沢水のようなほんのりとしたにおいがして、肌触りはキシつく。こんなところがひっそりと街角に今も残されているのが不思議に思われるような温泉だ。時間の感覚がなくなりそう。
湯上りは受付にありがとうと一言、玄関から外に出た。と同時にそこは令和の熱海だと気づいて、その瞬間に停まっていた時間の流れも街の喧噪も戻ってきた。