子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 温度は体温ぐらいのぬるさ。
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★☆☆☆ 混むことも多く赤ちゃんを連れて行く雰囲気では無いかも
子連れ家族のための温泉ポイント
七里田温泉はとにかく炭酸のアワアワが凄いらしい。
近隣の長湯温泉が日本一の炭酸泉で売っている温泉地だが、それより凄いらしい。もう想像がつかない。
だけど行ってみた結果、昨日行きそびれて今日の訪問になって良かったという結論に達した。
それはつまり、先に七里田温泉に入ってしまったら、昨日入った長湯温泉のラムネ温泉館すら霞んでしまったかもしれない・・・そういう意味だ。
長湯温泉から西へ進んでいくと、途中で昨日来た県道30号線から右へ入る道があるが、右へ入り田舎道を進んでいくと七里田温泉に到着する。
他に温泉を引いた民宿もあるようだが、外来客が立ち寄るのは七里田温泉館という日帰り温泉だ。
ここは別名「木乃葉の湯」という施設なのだが、七里田温泉の本髄と呼ばれるのはこの露天風呂や休憩室も備えた立派な建物の方ではなく、ちょっと離れた別棟の湯小屋、下湯。ラムネの湯の異名を持つそっちだった。
なお、下湯は七里田温泉館に入浴料を払い、鍵を借りてから入浴するシステム。
七里田温泉館の自販機には、木乃葉の湯の入浴料300円と下湯の入浴料500円が別々のボタンになっており、両方に入れる700円の共通券もあった。
今回私たちはついつい下湯のことばかり考えて下湯にしか入らなかったが、時間があったら木乃葉の湯と両方入ってみたかった。
木乃葉の湯のドアに下湯に関する注意書きの貼紙。
「下湯(ラムネの湯)ご利用のお客様が多いため制限時間いたします 時間制限1時間」
「下湯(ラムネの湯)ご入浴される方は、受付まで申し出てください」
「お客様へ 下湯(ラムネの湯)、ご入浴の方は、入浴料金とカギの補償金(1000円)を準備してください」
早く着きすぎたが、オープン時間になって鍵を借りる。
よっしゃ一番風呂。
手のひらサイズの将棋の駒型の板に鍵が括り付けてある。それを持っていそいそと下湯へ。
下湯のある場所は地元の人でないと判らないような細い私道みたいなところだが、二ヶ所の曲がり角には「ラムネの湯」という看板と矢印があるので迷わない。
下湯は川沿いの二階建て位の高さのコンクリ建てだった。
壁に「日本無類の炭酸泉」と札が下がっているところは、やはり近所の長湯温泉を意識してのことだろう。
建物はクリーム色に塗られていて、パッと見、何の建物かわからない。
入り口には監視カメラ付き。鍵を使って開けると、中で左右に分かれて男湯と女湯の暖簾が下がっている。建物の中に入ったら、中から鍵を閉めろとある。
浴室はシンプルだった。
階段を下りたところにほぼ正方形の浴槽があって、逆に浴槽以外は何にもない。
外壁同様無造作な漆喰の白壁は、床に近い辺りが温泉成分による赤茶色が染みついているだけだ。
天井はトタン板。仮設っぽい佇まいが何とも言えない。
一応湯口の近くに火山岩のぼこぼこした岩が置いてあるが、飾りと言えばそれだけ。
あとは高い位置に小さな窓が複数。
窓の外の眺めが全く見えないところが少し閉塞感を感じる。
一方、床は凄い。浴槽の縁から床に掛けて赤茶色の糊か漆を重ねて塗り固めたような状態になっていて元の色が判らない。
シャンプー、リンス、飲泉用プラスチックコップなどは備え付けてあるが、洗面器なども温泉成分でどことなく茶色っぽい色が染みついてまだらになっている。
ドキドキしながら湯船へ。
無色透明に見えるお湯は、入る前は特に泡は目につかなかった。
しかし入って湯口の側に寄ったらもう凄いことに。
泡はあのラムネ温泉館より多いや。
しゅわしゅわーっと全身が包まれた。なんだこれ、本当にアワアワだ。
しかもラムネ温泉館よりお湯の温度が温かいのがいい。ラムネ温泉館の泡付き源泉はひんやりしていたから。ここは体温+0.5度ぐらい。
私は冷たい温泉が苦手だからこのくらいだととても助かる。
わずかに金気臭のサイダー味。
泡が背中をコロコロする。
・・・と、話し声が聞こえて、それから次のお客さんが浴室に入ってきた。
実は鍵の貸し出しと聞いた時から勝手に貸切なんだと思い込んでいた私は相当びっくりしてしまった。
よく考えたらそんなわけないか。男女別の浴室なんだし、お風呂のサイズも数人で入れるし。
七里田温泉館は入浴料と引き換えに下湯の鍵を貸すわけで、入浴客は湯小屋に入ったらまた鍵を閉めるようになっているが、鍵は一つではなく次々と貸し出される仕組みで、なんと最大で13枚ほど貸し出されることがあるそうだ。
そうすると狭い浴槽も満杯で、正方形の外側に9人、真ん中に3~4人がいっせいに入浴することになるらしい。
この話を聞かせてくれたのはこの時男湯に来た男性で、奥さんの高血圧の治療のため、七里田温泉と長湯温泉で湯治をしているとのことだった。
結局私が入っていた40分ほどの間に、私たちを入れて3組、人数にして全部で6人しか来なかった。
男女別にカウントするならそれぞれたったの3人だ。
こんなに空いていることは滅多にないそうだ。
なんか昨日のラムネ温泉館でも同じような台詞を聞いたな。
泡が楽しくてなかなか上がれない。
泡と戯れるのは梱包材のぷちぷちを永遠につぶしているような楽しさ。
でも男湯の方からもう上がるという声が聞こえてしぶしぶ湯船を出た。
出てみたら体が冷えているのが判った。
体温ぐらいのお湯だから入っている間は寒さを感じなかったけど、脱衣所に移動したら冷え冷えとした。
あんなに長いこと入っていたのに実は全然あったまっていなかったと実感した寒さ。
やっぱり夏じゃないと私には辛いかもしれない。
七里田温泉館に戻って鍵を返すと、奥さんは「今日の午後からはテレビの取材が入っている」と教えてくれた。
取材とかち合ったりすると入浴できなかったりするよね。午前中じゃなくてよかった。