子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ ぬる湯とあつ湯があり、あつ湯は少し熱め
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
「別府温泉と寺の宿 瑞光寺大谷会館」があるのは鉄輪温泉の中心地、大谷公園の隣です。こちらのお寺は明治から大正に掛けてシルクロードを探検した「大谷探検隊」で知られる大谷光瑞上人ゆかりのお寺。
鉄輪観光にも便利な立地で、お寺だけど温泉も源泉掛け流し!瑞光寺の宿坊である大谷会館は、値段も安いしけっこう穴場な宿だと思います。
大谷光瑞(おおたにこうずい)上人をご存じでしょうか。浄土真宗本願寺派第22世法主にして、シルクロードを探検した探検家でもあります。
光瑞上人は明治35年から大正3年にかけて全部で3回、いわゆる「大谷探検隊」を組織しシルクロードの発掘調査を行いました。また、明治38年には六甲山麓に二楽荘(にらくそう)という庶民の度肝を抜くような豪華な別邸を建設するなど、さまざまなエピソードを残しています。
今回ご紹介する瑞光寺大谷会館は、光瑞上人の姓「大谷」から「大谷会館」、名の「光瑞」から「瑞光寺」の名をいただいた寺院です。
その大谷光瑞上人が没したのが別府。今は大谷公園となっている場所で、瑞光寺大谷会館はその隣接地に建てられました。
瑞光寺の立つ場所は、別府の中でも源泉数が多く湯煙たなびく鉄輪温泉エリア。そして鉄輪の中でも大変便利な場所に位置しています。亀の井バスの鉄輪バスセンターから徒歩3分。鉄輪の地獄巡りをするにも、共同浴場巡りをするにもばっちりで、観光名所の地獄蒸し工房 鉄輪も歩いてすぐ。
瑞光寺には光瑞上人の遺品や写真が展示されています。写真の香炉も光瑞上人が生前に愛用されていた石臼です。
瑞光寺大谷会館には宿坊があり、一般の人も宿泊できます。昭和30年代の建物なので、外観はちょっと古いなと感じられるかもしれないですね。
お部屋は華美なところはなくシンプルな設えですが、清潔で落ち着けます。寒い時期ならこたつなども。
室内にはテレビとエアコンがあり、タオル、浴衣、歯ブラシなどもそろっています。設備は旅館とほぼ同じ。宿坊に泊まるのが初めての人でも心配いりません。むしろ、コストパフォーマンスから考えたらかなりお安いです。ただし、洗面所、お手洗いは共同、お布団はセルフサービスになります。
朝食付きで宿泊した場合は食堂に食事が用意されます。こちらも非常にシンプルな和食ですが、滋味深い味わいに宿坊らしさが感じられるのではないでしょうか。
瑞光寺大谷会館はお寺ですが流石は別府!ちゃんとお風呂は源泉掛け流しの天然温泉です。ただし源泉がとても熱いため沢水で加水して適温に調節してあります。
浴室は一度に40人が入浴できるサイズなので、かなり広く感じるかも。浴槽は熱めとぬるめとに分かれていて、お好みの温度で入浴できます。お湯は緑濁で滑る感触が強く、沢水を使っているせいか、沢水っぽいにおいが少し。
泉質はナトリウム―塩化物泉。すぐ近くの湯元旅館かなわ荘が所有する源泉を引いています。
源泉湧出地は大谷会館のすぐお隣ですよ。かなり近いです。
瑞光寺大谷会館に泊まったら、ぜひ隣接する大谷公園も訪れてみてください。ここが大谷光瑞上人が没した地であり、今は別府市所有の公園として石碑や、足湯ならぬ足用の岩盤浴などが設置されています。
公園なのにもうもうと湯煙が上がっているのは別府の鉄輪温泉ならではと思える光景です。
こちらの石碑のユニークなデザインは、中国にあった浄土真宗本願寺派別院の扉と同じ形をしているそうです。陶板の写真は光瑞上人を中心に、両側は当時大谷探検隊を率いていたリーダーたちの姿。裏面には大谷探検隊が踏破した広大なルートが記されています。
公園内の足用岩盤浴は無料で利用できます。岩盤浴なので靴下を脱ぐ必要はありませんが、熱すぎる場合はタオルなどを敷きましょう。
栄華を極めた大谷光瑞上人ですが、晩年は辛い思いをされていたようです。ここに腰を掛けて足を温めながら、名家に生まれながらも探検隊を組織して、自らシルクロードに足を運ぶような型破りの人物が、当時の日本にいたことに思いを馳せてみてください。