子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ お湯は比較的ぬるめ
- 設備★☆☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 設備は(脱衣棚以外)何もない
子連れ家族のための温泉ポイント
日本一の炭酸泉をうたう長湯温泉のシンボルは芹川の川原に作られた蟹型の無料の露天風呂、ガニ湯だ。
元々は自然の軽石から湧いていた温泉であるため、泡を吹く、軽石が蟹の甲羅のようだというイメージから、カニ湯、ガニ湯として親しまれてきた。
私たちはガニ湯のすぐ近くのお風呂無しの小洒落た湯治宿 ガニ湯本舗天風庵に一泊した。
ここは1階が郷土料理の食事処、2階は宿泊施設となっている。
お風呂は無くてもガニ湯は近いし、ここに泊ると翡翠之庄のお風呂は無料、万象の湯とラムネ温泉館は割引料金で入れるため特に不自由は無い。
ところでガニ湯は無料で誰でも利用できるが、道路からそのまんま見下ろせるようにまるっきり丸見え。
は、入りたいけど・・・本当に入れるかな?
そうやって見下ろしている間にもガニ湯の側に入れ代わり立ち代わり近寄る観光客が何人もいて、みんな近寄って写真は撮るけれど誰も入ろうとはしない。
だいたい夕方の6時ぐらい。
季節がら、まだ空は明るいが、ぽつぽつと建物の玄関辺りに灯りがともり始めている。
夫がガニ湯に入ってみようと言い出した。
結構驚いた。何しろ道路から見下ろせばそのまんま丸見えで、川向いの旅館の窓からもたぶん丸見えで、その上昼間はほとんど誰かしら観光客が物珍しげに周辺を歩き回っていたからだ。
もちろん誰も入っているのを見ていない。
ガイドブックなんかには、女性でも入っている人はいますよなんて書いてあったけど、流石に自分はある程度暗くなってからでないと難しいと思っていた。
「でも入るなら今が一番いいと思うよ。旅館に泊まってる人たちはちょうど夕食時間だから来ないよ」
なるほど一理ある。
「でもでも川向いの旅館の夕食会場がもしガニ湯の真正面だったらどうすんだ!?」
「まあまあ」
「・・・」
で、結局巻き巻き用のバスタオルを持って天風庵を出た。
まあなるようになるだろう。
宿のすぐ横に流れているごく小さな小川に向かって下がる石段を10段ちょっと降りて、橋の下を潜れば目の前がガニ湯の湯舟。
橋の橋脚に脱衣棚が据え付けてあった。
本当に板一枚!?
脱いだ服は乗せられるけど、身を隠すところは皆無。
というか、脱衣棚のあるここは橋の下なので、横方向からはのぞかれないけど、縦方向からは丸見えになる。陸側はまず見えないと思うが、やっぱり川側の真正面からは隠すものが無い。
逆を言えば四方のうち、川側の一方だけが開けているのだから、ここに衝立のひとつでもあればめちゃくちゃ女性も入りやすいのになぁ。
脱衣のハードルさえ超えればガニ湯のお湯は黄土色の濃い濁り湯だからそんなに不安は無い。
ええいままよととりあえずバスタオル巻きになる。
過去の経験からバスタオルは普通の毛足の長いタイプじゃなく、ガーゼを重ねた地のものを持参している。
普通のバスタオルも、化繊のドライタイプも、完全にお湯に浸してしまうと女性の力では浴後に絞るのが困難なのだ。
そしていざガニ湯にチャレンジ!!
私が脱衣に手間取っている間に、夫はさっさと湯船に浸かりのんびりビールなんてかっくらっている。
熱かったらどうしようと思ったが、全然熱くなかった。
むしろぬるめ。
浴槽の中も析出物のせいか角があるどころか何もかも丸まっているので、ずるりと滑って転びそうだ。
河原の何の仕切りも無い露天風呂。
面白い。さっきまで見下ろしていたそこに自分が入っていることが。わーいとか声を上げたくなる。
腕を出しているだけでも、スカスカの開放感。
湯面に近い隅のパイプからお湯がどぼどぼ出ている。
あまりにも濁りが濃いので泡があるとか肌に着くとかそういうのは全然わからなかった。取りたてて手触りもアワアワには感じなかった。
でもお湯のにおいとか印象とかはあまり記憶に無い。
特徴が無いわけではなく、ガニ湯に入ったシチュエーションの楽しさにハイになってしまって、お湯のことを全然覚えていなかったというのが事実。
確かに夫の時間選択は誤っていなかったようで、私たちが入っている間、誰も河原に降りてこなかったし、道を歩いている人も見当たらなかった。
そしてこの後、夜になってから何度かガニ湯の上を通ったが、暗くなってからは常に誰か入浴していた。
だから意外と夜は女性は入りづらいかもと思った。
明るいと流石にちょっと入れないと思う人は多いわけで、本当に暗くなってからのガニ湯は大盛況だったのだ。