子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★★ 白猿の湯は深いので注意
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★★ 桂の湯脱衣所にベンチあり、宿泊者なら銀の湯貸切利用可
子連れ家族のための温泉ポイント
「スカイランタンを見に行こう」って、前年に大沢温泉に泊まった時に夫が言って、目が覚めたら鉛温泉 藤三旅館を予約してあった。えっ、本当に?嬉しいなぁ。
スカイランタンは「はなまき星めぐりの夜」という冬のイベントで、花巻温泉郷の宿の宿泊者限定。藤三旅館から近い鉛温泉スキー場で行われる。
それでイベントに合わせて予約した藤三旅館にでかけた。前々からこの宿の名物風呂の「白猿の湯」に入ってみたいと思っていたんだ。
藤三旅館は鉛温泉の一軒宿で、今も湯治部があり比較的リーズナブルに泊まれる。せっかくなのでニフティ温泉に企画を通して取材もさせてもらうことになった。
お風呂は「白猿の湯」、「桂の湯」、「白糸の湯」、「銀(しろがね)の湯」の4ヶ所。このうち男女別々の浴室になっているのは「桂の湯」のみ。残りは混浴または入れ替えで使う。
鉛温泉の源泉は公式サイトによると5本あり、こちらのじゃらんの源泉使用状況には詳細が掲載されているが、取材で伺った話では、現在は5本全てを浴用に使用しているわけではなく、また出が悪くなれば新たな源泉を掘削したりしているということなので、必ずしもこの通りではないのかもしれない(途中で経営が変わったりもしているので)。
ただはっきりしているのは、「白猿の湯」浴室内の小さい方の浴槽(子猿とも呼ばれている)のみ1本の源泉を単独使用(おそらくぬるめ源泉の「河鹿の湯」)で、その他は全て混合しているとのこと。「河鹿の湯」以外は温度が高いので、「河鹿の湯」を足すことで適温に調節していると思われる。
「白猿の湯」は3階分吹き抜けの容積の大きな浴室で、現在の建築基準法ではもう新たに作ることはできない。
そして最近ではあまりそのことを謳わなくなっているが、元々は浴槽内から自噴していた源泉の出が悪くなるごとに何度も深く掘り進み、結果的に今のような深い立ち湯になったと言われている。
じゃあ、また出が悪くなったらさらに深く掘るのかというと、もうそれはしないそうだ。現在もこの浴槽内に既に他の源泉も引き入れているので、そちらの湯量を増やすことで対応するだろうと。もう二度と作れない歴史的な浴室であるならなおさらのこと、簡単に浴槽の下を掘るとかできないだろうしね。
お風呂ごとに入り比べると、「白糸の湯」と「銀の湯」、その中でも特に「白糸の湯」でにゅるんとした手触りが顕著。色はほぼ無色透明だが、ごくたまに白いふわふわとした湯の花がある。においもほとんどないが、たまに植物の青臭いようなにおいがする。
やはり「白猿の湯」は特別。一生に一度は入りたい系のお風呂。深さは約1.25メートルということだが、背の低い私は顎上ギリギリぐらいまでお湯が来る。楕円形の両端に小さい段差のようなものがあるので、そこに立つことで何とか安心して入れる。
もっと深いところを歩き回ってみたかったが、怖いのであまり下りれなかった。底の中央に岩が3つあり、その真ん中にパイプが刺さっていてそこからお湯が出ているが、他にも岩陰に別の注入口があるそうだ。
「子猿」はぬるいのでクールダウンに使ってもいいし、掛け湯にしても良いとのこと。この時は真冬で寒かったので、私はあまり入れなかった。
「桂の湯」は男女それぞれに内湯と露天風呂があるので、他のお風呂と違って性別ごとの入浴時間を気にせずいつでも入れる。男湯のみ露天風呂が2つあるが、小さいほうは冬はお湯が入っていない。
この「桂の湯」の露天風呂は川がよく見えるところがいい。夜に入った時は、外気温でほどよくぬるめになっていて、ちょうど岩がもたれるのにちょうどいい形で、足を上に出してくつろいでいるといつまでも長湯ができる。
藤三旅館は玄関周辺の建物も素晴らしい木造建築だが、特に登録有形文化財には申請していないとのこと。入り口前に立てば長い歴史を感じる宿で、このままずっと時間を停めていてほしい。