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【旧】川原湯温泉 共同浴場 王湯

※ 2014年7月に王湯は移転先でリニューアルオープンしました。このレポートは移転前の古いもので、新しい施設については川原湯温泉 共同浴場 王湯をご覧ください。

 ■所在地 〒377-1302群馬県吾妻郡長野原町川原湯290 TEL 0279-83-2591
 ■泉質 含硫黄-塩化物・硫酸塩泉(中性低張性高温泉)
 ■営業時間 4月〜11月 AM10:00〜PM6:00、12月〜3月 AM10:00〜PM5:00
 ■定休日 毎年1月20日は湯かけ祭りのため休館
 ■利用料 大人300円、小人(歩ける子供から小学生以下)200円
 ■設備等 男女別内湯、露天風呂、和室休憩室(大広間)など
  (2002年12月の当時のデータ)
果たしてこの温泉は赤ちゃん向けか?
 湯温★★☆☆☆ 泉質★★★★☆  湯温はかなり熱め、泉質は刺激なし
 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★★ ベビーベッドなどは無い、和室休憩室はあり
川原湯温泉共同浴場 王湯
川原湯温泉の共同浴場 王湯
川原湯温泉 王湯の受付
受付に新旧二つの電話

 新緑と紅葉で有名な関東の耶馬溪こと吾妻渓谷にある川原湯温泉は、平成18年完成予定の八ツ場ダムの底に沈む運命にある。
 その昔は草津の仕上げ湯の一つとして賑わったこの温泉も、今はひっそりと静まり返っている。

 吾妻線の川原湯温泉駅があるが、駅から温泉の中心地までは少し距離があり、10分ほどは歩かなくてはならない。共同浴場は王湯、笹湯、聖天様露天風呂と三つあり、特に中心地にある王湯のあたりは道も狭く、年季の入った旅館が崖にへばりつくように立ち並んでいる。その様子は、まるで水底に沈むのに抗うのをやめてしまったかのように、どこかうら寂しい。

 看板こそ綺麗だが、王湯の建物は木造りで年季が入っていて、共同浴場らしい雰囲気に満ちている。
 受付もレトロ感溢れていて、カード式の公衆電話の横に、昔懐かしい黒電話も見ることができる。

 ここは男女別の内湯と露天風呂がそれぞれあるが、階段を上り下りするなど少し離れているので、両方入るには少し不便だ。裸で移動しないようにとの注意書きもある。

川原湯温泉 王湯の内湯
内湯は階段の下
川原湯温泉 王湯の階段
内湯と露天風呂は服を着て移動する

 内湯は二階分吹き抜けの天井が高いつくり。
 脱衣した後、階段を下りて浴槽へ向かうようになっている。見晴らしは無いが、石の浴槽はいい味を出している。

 露天風呂は洗い場も何も無く、脱衣所のドアを開けるといきなりある。
 浴槽は四角い石製で浅め、塀は立ち上がってちょうど外がのぞけるくらいに高い。だから立ち上がらないと景色は見えなくて、また、入るときに近隣の宿の窓から覗かれそうではあるかも。
 とはいえ、雰囲気は満点で、特に目の前に何本か葉の落ちた落葉樹が枝を伸ばしているので、きっと紅葉の時期にはお風呂から上を見上げるだけで最高の紅葉狩りができるのだろう。

 肌あたりはやわらかくて、とりたててきしきしもにゅるにゅるもしない。無色透明で綺麗な湯だ。源泉が80度近いので水を止めないでと張り紙が有り、源泉湯口と並んで冷水の蛇口から水が出ている。このとき男湯はかなり熱かったらしいが、女湯は先客がぬるめたらしく、子供にも適温になっていた。
 施設の入り口を入ったときから硫黄らしいゆで卵臭がしていたが、入ってみるとどちらかというと少しゴムっぽい匂いの方が強い。
 竹筒を輪切りにした飲泉コップがあったので飲んでみたら、薄いゆで卵系の味。昼神温泉に似ているかな。

川原湯温泉 王湯の露天風呂
露天風呂は眺めがよい
川原湯温泉 王湯の露天風呂入浴中
お湯はかなり熱め

 川原湯温泉に入った後は、肌が乾いたように白っぽくなって、かさかさに近いすべすべ感と、ちょっとつっぱるような感覚がある。

 ここの温まり度は半端ではなく、しかも持続力が高い。
 訪問は12月末だったが、夜になっても冷えるどころかセーター要らず。暖房もみんな切ってしまうくらい効果的だ。

 なお、毎年1月20日早朝にはこの王湯の前で、川原湯温泉 湯かけ祭りが行われる。
 400年ほど前に湯が止まり、鶏を捧げて祈願したところ再び湧き出したという伝説によるもの。喜びのあまり湯を掛け合った当時の状況を再現し、ふんどし姿で紅白に分かれて湯を掛け合うという祭り。
 その1月20日の今日、川原湯温泉のレポートをまとめているのも何だか不思議な気がする。今朝もまた、例年のように湯かけ祭りが行われたのだろう。そして水没後は、もうこの王湯の前で祭りが行われることも無いのであろう。
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