子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★☆☆☆☆ 泉質★☆☆☆☆
- 設備★☆☆☆☆ 雰囲気★★☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
2017年にようやく再訪できた。2006年に、建て替え前の鄙びた雰囲気を残す長寿の湯を訪ねて以来、なかなか入りに来られなかった。建て替え後に一度も来ていないわけではなく、早朝に前を通った時は、まだ施錠されていた。タイミングが合わなかった温泉の一つ。
すでに立て替えて10年以上。新品らしさは無く、使い込まれた色合いが沁みついてきている。相変わらず入浴客のほとんどは地元の方。観光客が来るには中心地から微妙に離れているのが幸いか。
シンプルな長方形の浴槽には湯畑源泉。浴槽内は石造りだが縁は温かみのある木製。壁は板張りで天井が高い。
お湯はじゃぽじゃぽと蛇口の湯口から投入。湯畑に近い共同浴場より鮮度良し。地元の人がそろそろ床が黒ずんできたからデッキブラシでこすらないとなぁなんて話す声が聞こえてくる。
泊っていた宿から長寿の湯はすぐだった。
木の板に墨で長寿乃湯と書かれた看板以外、飾り気がない。
どちらかというと古い民家のようだ。
それもそのはず、草津にある無料開放されている外湯の中では、一番古い建物になる。昭和51年建設だ。
外観は素っ気なかったが、中は木組みに年季が入っていてなかなか良い雰囲気。
場所柄、観光客の利用はほとんどなく、地元の方が大半のようだ。それも年輩の方が多い。
お湯は熱めだが熱すぎるほどではない。緑色っぽく見える透明のお湯だ。
これから時間湯をすることになっていたので、あまり長湯はせずに上がることにした。
脱衣所で服を着ていると、「共同浴場巡りをしているの?」と地元に方に話しかけられた。
たぶん観光協会の地図に載っている白旗の湯、千代の湯、地蔵の湯などと違って、入り組んだ所にある長寿の湯を訪ねてくる観光客はほとんどいないに違いない。
「あっ、はい・・・」
「どことどこを廻ったの?」
「えーと・・・」
答えを待たずにどんどん話が進んでいく。
「ここはいいでしょ。他の共同浴場より雰囲気がいいと思うわ。他ではやれどっから来たの?だの、どこに泊まってるの?だのいろいろ聞かれて煩いでしょ」
「それはあなたでしょ」と他の人が混ぜっ返す。
何だか漫才みたいだ。
「でもね、この長寿の湯ももうじき建て替えなのよ。夏に草津のお祭りがあるんだけど、それが終わったら新しい建物に変わっちゃうのね」
するとこの良い色に染まった浴室の木の床などもあと何ヶ月かで見納めなのか。
「またおいでなさいね」
何となくこういう交流が嬉しくて、地元の方が多い共同浴場など廻ってしまうのかもしれない。