子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★☆☆☆ 泉質★☆☆☆☆ 熱目のお湯が多く、泉質も刺激的
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★★☆ 子連れ向けじゃないけど混浴があるから夫婦で協力して赤ちゃんと入るのはありかも
子連れ家族のための温泉ポイント
恐山とは一つの山ではなく恐山山系の複数の山からなる山地を総称して呼ぶ。
それらはカルデラ湖である宇曽利湖を中心とする八峰の外輪山で、中でも一番高い山が、泊ったむつグランドホテルの部屋から眺めていた釜臥山だ。
しかし一般的に恐山と言えば山地のことではなく、その宇曽利湖のほとりに建てられた曹洞宗の恐山菩提寺と周囲の霊場のことを指す。イタコが口寄せを行うことでもよく知られている。
そう、恐山と言えばイタコというイメージが強いが、イタコは年に二回、恐山の例大祭と秋詣りの時にだけやってきて口寄せを行っているのだそうだ。
だから普通の日にふらっと訪ねてきてもイタコさんがいるわけではない。
恐山菩提寺の本坊は曹洞宗円通寺。元会津藩であった斗南藩とのかかわりも深く、藩庁や斗南藩校日新館が置かれた場所。境内に会津藩士の招魂碑が建つ。
恐山温泉は通常の日帰り温泉や共同浴場とは異なり、恐山に入山した参拝客にふるまわれているお湯となる。
入浴を希望する場合は恐山菩提寺の受付で入山料を払い、霊場に点在する四ヶ所の湯小屋を利用することになる。
それら湯小屋の一部は菩提寺の山門を潜ればすぐに見える。
右に男湯の薬師の湯。
左に女湯の小滝の湯。さらに並んで男女入れ替え制の冷抜の湯。
この三ヵ所はすぐにわかるが、残る花染の湯だけは離れている。
混浴の花染の湯は基本の参拝順路からも外れており、宿坊の裏にある。
恐山の宿坊に泊るなら花染の湯は便利な場所だと思うが、参拝に来ただけだと見過ごしやすい。
ひととおり順路を回った後は、四ヶ所の湯小屋を回ることにした。といっても自分は女なので男湯の薬師の湯は入浴できないが。
まず花染の湯へ。
ここだけ参拝順路から外れたところにあり、唯一の混浴。
宿坊の裏手まで歩くのだが、距離感覚がつかめず不安になった。
花染の湯の周囲は立ち上る硫化水素臭。
ここは周辺の噴気孔からシューシューと蒸気が噴き出しているだけでなく、あちこちにぼこぼこと灰色の泥状の湯だまりができて実際に湯が湧いている。それらは危険なのでごく簡単に柵で囲ってあるだけだが。
恐山の湯小屋は四ヶ所ともいかにも恐山といった木の小屋で、中は衝立で仕切られた脱衣棚と長方形の木の浴槽。
混浴の花染の湯はひとつの浴槽が中で三つに仕切られている。
脱衣所から見て一番奥に湯口があり、そこから流れるお湯が順々に冷めていく。
少し緑がかっても見える綺麗な白濁湯で、濁りはそんなに強くなかった。ミルキーな乳白色でうっすらと底が透けて見える。
湯の花は白い粒上のものが沢山、浮いているし沈んでいる。
熱めでぴりぴりする。酸っぱいにおいも強い。
一ヶ所だけ離れていて他に参拝客の姿も見えなかったので、混浴でも安心して入っていたが、上がって着替えている時に男性二人が入ってきた。
相手はちょっと迷ったようだがそのまま入ろうとしたので、「1分待ってくれたら急いで着替えちゃいますので」とお願いして外で待ってもらった。
小滝の湯は常時女湯。
ここは何故か左右に入り口があり、その両方に同じような脱衣所があり、でも浴室は真ん中で一ヶ所だけ。
もしかして昔はここが混浴だったんじゃないかと思われる作り。
浴槽も左右に二つ。
同じパイプから両方に注がれているからお湯は同じだと思うが・・・色はちょっと違って見えるんだよね。
片方が明るくて青緑がかって、もう片方が青みが強いような。底の色の禿具合によって違って見えるのか温度が違うのか(後から写真で確認したら青っぽい方だけに加水されていた)。
蛇口がついているパイプは加水するための冷水。
小滝の湯は湯の花はほとんど無かった。ぴりつきは少ないが、ぬるつく(溶ける)感じが強い。
混浴の花染の湯に比べると肌辺りは穏やか。酸っぱいにおいはこちらの方が強い。
そのあとはすぐ隣に建つ冷抜の湯へ。
冷抜の湯も小滝の湯同様二つの浴槽が完全に別れている。
冷抜は「ひえ」と読むようで、入口には「冷抜の湯」という木の札が下がっているが、脱衣棚には「比恵の湯」という札が置かれていた。
ひえの湯というと冷えそうだが、名前とうらはら一番熱かった。
他もそれなりにきりりと熱かったが、ここは加水されていても熱かった。
湯の花は細かい白いものが底に沈んでいる。ぴりつきは花染と小滝の中間ぐらい。
ちなみにこの冷抜の湯は男女交代制だが、一度男湯とか女湯とか決まると、その日一日はもう固定なのだそうだ。
じゃ、いつ交代になるのかと受付で聞いてみたが、ここではわからないとのこと。
一日交代とか、奇数日偶数日と決まっているわけでもなさそう。
なお、恐山四ヶ所の湯小屋のお湯は、それぞれ全て源泉が異なるそうだ。
ここは一帯のあちこちから火山性ガスが噴出しているから、いくらでも温泉が湧きそう。近くにライバル(日帰り温泉とか旅館とか)もいないし。
霊場恐山の白茶けた世界で色を持っているのはところどころに刺さり、からからと乾いた軽い音を立てて回っているプラスチックの風車だけだ。
風車の音が耳について離れない。
お地蔵様は子供を守る仏様だからか、風車の他に誰かが供えたドロップの缶や散らばったクレヨンなどもあってつらい気持ちになる。
また風が吹いてきて、止まっていた風車が一斉に回り始めた。