このお湯、とてもすべすべする。
にゅるにゅるというのとはまったく違う。お湯の中で肌をこすってみると判る。お湯自体がすべすべとしている。
にゅるにゅるも好きだがすべすべも好きだ。
臭いは枯れ草の臭い。
モール臭・・・なのかな。泥付き野菜を洗っているときのような枯れ草と土の臭いがはっきりとする。
「
養老渓谷あたりのお湯が黒いのは知っていたけど、ここも黒いんだ」という私に、先に湯船でくつろいで入らした女性が、「この辺りのお湯はみんな黒いわよ」と教えてくれた。
「地元の方でいらっしゃいますか?」
「まあ地元っていうか・・・半分、地元のようなものかしら」
なんとなく、この辺りに別荘でもお持ちなのかもという印象だった。
「ここのお湯はいいわよ。近くにクアライフ御宿もあるけどあちらは千円でしょ。ここは500円で入れるし」
「というか、無料なんですか? タダでどうぞって言われましたけど」
女性はふふふと笑って言う。
「先月テレビのもしもツアーズで紹介されて、何だかよく判らないうちに土日は無料で入浴できるってことにされちゃったみたいなの」
そ、そりゃあまあ何と剛毅なお宿ですこと。
混雑してるって言うのは、要するにテレビで入浴無料ですなんて紹介されたからだったのか。
でもその割に入っているのは地元っぽい年輩の人ばかりだ。テレビは熱しやすく冷めやすいから、もう既に混雑の波は去った後だったのかもしれない。
ちなみに
御宿天然温泉元湯が土日の日帰り入浴無料なのは、2006年の10月いっぱいだ。これを読んでその気になった人はお早めに。