むつグランドホテルの豪華な玄関の横にも巨大な提灯。提灯の裏には墨で菊池家の文字。意識してみるとロビーのあちらこちらに喪服の人がいる。
もしかして葬儀なのか? それにしても提灯の大きさといい、地域で一番大きなホテルとおぼしき場所をまるまる葬儀に使うとはどう考えても亡くなったのは普通の人ではあるまいに。
後で夕食時に使ったタクシーでも運転手にこの葬儀のことを聞いたが、どうも話が噛み合わない。
「まだ若かったからね」とか、こちらもある程度の知識を持っていることを前提にしたような話をされる。
ようやく理解したのは夜寝る前に温泉に至る廊下を通っていた時だった。
同じ名前を見つけた。廊下に何枚も貼られているお偉いさんの写真。
無くなったのは(元?)青森県議会議員にして、このむつグランドホテルのオーナーだった。
そりゃあホテル全体で喪に服すだろう。駐車場も満車になるわけだ。
・・・という話は置いておいて、とりあえずチェックイン。
予約した時はビジネスホテルぐらいのつもりだったが、実際に中を見てみると、立派なシティホテルだった。
部屋からは新田名部川の向こうに広がるむつ市内と、さらにその奥にシルエットとなってそびえる印象的な釜臥山。
見ているうちにゆっくりと日は暮れ、街に灯りが灯りはじめた。
ただ、夕焼け空になるには光が足りな過ぎて、そのまま徐々に暗くなっていった。