昔は下風呂温泉の湯は黒かった。
その頃下風呂で宿を経営していた何軒かはやめてしまったが、さつき荘は残った。
そしていつしか下風呂のお湯は白くなったらしい。
そんな話を昨夜、さつき荘のご主人の弟さんが切り盛りする居酒屋で聞いた。
さつき荘の女将さんも、今でも時々前触れなくお湯が黒っぽくなることがあり、今はインターネットなどでそのことも知られて、むしろ貴重な状態だと思われているようだと言っていた。
黒かったころはそれを敬遠するお客さんも少なからずいたようで、苦労も多かったと思われる。
下風呂温泉は下北半島では一番大きな温泉街を形成しているが、決して湯量に恵まれているわけでは無い。
一本の湯脈の源泉を陸で抜くか、海の近くで抜くか、海で抜くかでそれぞれの泉質や性質が異なっていると居酒屋の大将は言っていた。
さつき荘やニュー下風呂の源泉は海辺地源泉だから海の方から湧出しているのだろう。
さらに同じ源泉でも引き湯の距離や使い方で表情を変える。全部の宿に入らないと違いは判りませんよと仲居さんも言っていた。
あいにくと今朝は浴室の入口に使用中の札が掛かっていた。
下風呂温泉さつき荘のお風呂は開いていたら自由に鍵を掛けて使用する貸切風呂タイプなので、誰かが使っていたら入れない。
昨夜も寝る前にもう一度入って、あの木の湯小屋の白濁湯を楽しんだが、チェックアウト前にもう一度入りたかった。