1.湯西川別館の源泉使用状況
二日目 2005年6月19日(日)
「朝風呂、行く?」
「い、行く~」
朝は弱い。
でも温泉宿にお泊まりしたら、朝風呂は何より楽しみだ。
這ってでも布団から出なくては。
「パパは?」
「もう入ってきたよ」
そうだろうねぇ。昨夜は9時前に就寝だったようだから。
「年輩の人が多いから、早朝から風呂場は大賑わいだった。みんな呆れるほど早起きなんだよ」
本当は寝ぼけ眼のまま風呂場へ移動して、お風呂の中でしゃきっと目を覚ますのが最高に気持ちいいのだが、流石に30分近く布団でごろごろしていたら、お風呂に入る前に目は覚めてしまった。
まあいいや。
とにかく行って来よう。
やっぱり朝はさわやかに露天風呂かな・・・と思ったら、女性用露天風呂は既に満員御礼だった。
パパの言うとおり、みんな朝が早いんだな。
それじゃ混浴露天風呂も混んでいるかな・・・と、そっとのぞけば、おや、こちらは無人みたい。
有り難く入らせてもらうことにしよう。
何だか今回の旅行では混浴に入る機会が多いようだ。
昨日入った女性用露天風呂と比較すると、少し小さく古いような気がする。
岩風呂で、中央に大きな石が突き出している。
周りはぐるりと竹垣で囲われ、屋根も付いているが、外に面した一角だけ開けていて、
湯西川別館の一階部分や隣の湯西川本館の建物が見える。
入ってみて、あれ? ここは女性用露天風呂や貸切とお湯が違うような気がすると思った。
ここだけゆで卵の臭いが薄いのだ。それに肌にきしきしとくる感触も強いような気がする。
お湯について言えば、昨夜入った男女別の大浴場はもっと謎だった。
コップを備え付けた湯口があるのだが、そこからはとてもぬるいお湯が出ている。なのに湯船はかなり熱い。隅の方にはジャグジーも付いている。手動で、スイッチを入れて15分だけ稼働するようになっている。あまりにお湯が熱めなので、とても15分もジャグジーに入っている気になれないが。
そのうえ浴槽の壁面にはっきりとした吸引口。
すわ循環風呂か?と思ってしまった。
湯中で加熱循環しているのかと思ったのだ。
後で湯西川別館のご主人に確認してみた。
結構複雑なのでちょっとまとめてみたい。
湯西川別館で使っている源泉は三種類。
59度の一番熱い高手観音の湯(4軒の宿で共同使用)。
51度のまあまあ熱い前山(まえのやま)源泉(12軒の宿で共同使用)。
42.3度のぬるい湯西川館源泉(2軒の宿で共同使用)。
そして宿に5つあるお風呂のうち、男女別大浴場と貸切家族風呂と女性用露天風呂は高手観音の湯をメインに使っている。
混浴露天風呂のみ違っていて、前山源泉が引かれている。
そして残ったぬるい湯西川館源泉は各浴槽の温度調節に使用しているとのこと。特に男女別大浴場で多く使っているということだった。
なるほどそれで大浴場のコップの湯口がぬるくて中が熱かった理由が判った。
コップが置いてあるところはぬるい湯西川館源泉が出ていて、どこか浴槽の内部から熱い高手観音の湯が出ているのだ。
ちなみに浴槽の壁面にあった吸引口は、ゴミ取りのための設備で、全てのお風呂は非循環の掛け流しだということだった。