5.あじさい公園と黄金橋の落とし物
駐車場から黄金橋と名付けられた橋を渡ればあじさい公園はすぐだ。
確かにまんじゅう屋のおじさんが言ったとおり、まだあじさいの季節には早かった。
ちらほらとたまに色づいているだけでほとんどはまだ緑色だ。
この公園は全体が遊歩道のようになっていて、花や川を見ながら龍王峡まで歩くことができるようになっている。
見頃まではあと二週間ぐらい。咲き始めれば夏休み近くまで楽しむことができる。
さて、戻るときにも黄金橋を通るわけだが、この橋、あちらこちらにう○ちが落ちている。
子供たちもあまりに落ちているので、黄金橋じゃなくてう○ち橋なんじゃない?と言い出す始末。
反対側から草刈りのおじさんが一人やってきた。
「猿、いなかったかい?」
「猿ですか?」
「しょっちゅうこの橋をうろうろしているんだよ」
あっ、もしかして橋のあちこちに落ちていたのは猿の落とし物か。
「そうなんだよ。でもこのあたりの猿は日光いろは坂あたりにいるやつらと違って、見えるところに食べ物でも持っていない限り悪さはしないから大丈夫」
おじさんたちはあじさい季節の前に、公園やその周りを整備するため、今の季節に草刈りをするのだと教えてくれた。
「これからの季節、大勢のお客さんが龍王峡からあじさい公園まで歩いて、その後
薬師の湯で汗を流し、川治の駅から電車に乗って帰って行くんだよ。でも薬師の湯は朝の一番風呂が最高だよ」