1.なんで? どうして? 湯西川?
初日 2005年6月18日(土)
レナ5歳。
幼稚園年長。
何でも「なんで?」「どうして?」のお年頃。
「ご飯を残しちゃいけません」と母。
「なんで?」
「お肉や魚は動物さんが死んでその体をもらっているんだよ。あなたがお皿に載っているものを食べなかったら、その動物さんが死んだことは何の役にも立たないよ」
「・・・死んじゃったの? かわいそうだよ」
「そうしないとあなたが死んじゃうんだよ」
「・・・」
「だから残さず食べないと」
「・・・ご飯粒は? ご飯粒も動物さんなの?」
「あれはお米の成る植物の種なんだよ。私たちは本当は草に育つ植物の種をもらって食べているのだから、やっぱり動物さんと同じで残しちゃいけない。
そうだ。
それなら自分で実際にお米ができるところを見てみる?」
「うん、見てみたい」
いつも苺狩りに行く栃木県佐野のJA安佐アグリタウンから、いちご畑会員限定の米作り体験お誘い葉書が今年も来ていた。
パパが去年から興味を示していたから今年は申し込んでみるかな。
6月に田植え、10月稲刈り、12月餅つきのスケジュール。
ゴールデンウィークに
ケアンズに行って以来すっかり頭の中がオーストラリア一色になっていたので、そろそろ温泉旅館にお泊まりしようか。
佐野に用事があるのに
湯西川に宿を取ってしまうのは我が家の謎だ。
どう考えたって遠すぎる。
最初は那須か塩原に泊まろうと思って探した。鬼怒川か川治でもいい。
だけどカナが小学生になってから、土日しか動けないし添い寝幼児扱いもできない。一年半前より格段に宿泊費用は高く付くようになった。
これぞと思う宿はどこも高すぎて泊まれない。
単純に大人料金が手頃な宿でも、小学生の割引率や添い寝幼児の料金計算如何によって、家族四人分の宿泊料は全く変わってくる。
やっと折り合いの付く宿を見つけた。
湯西川だった。
湯西川といえば、そうだなぁ、今から十数年前、まだ自分も独身でそれほど秘湯がもてはやされていなかった頃に名前を知った温泉だ。
あるときどうしても紅葉を見に栃木に行きたくなり、調べていくうちに雑誌で「秘湯」だと紹介されているのを読んだ。
当時は鬼怒川と塩原ぐらいしか知らなかった。
早速湯西川の観光協会に電話を掛けたのだが、紅葉の週末に一万円以内で泊めてくれる宿は無いかと聞いて「今週末は厳しいんじゃないですか?」と言われた。
結局、最後は日帰りで日光に出かけた。
あれきり湯西川とは縁がなかった。
気にはなっていたのだ、ずっとどんなところか。