ずーっと綺麗な海を見ながら走っている。
まだ昼過ぎなのに、どこか夕方の海のように思えるのは旅の終わりが近いから。
周防大島は瀬戸内海で三番目の面積を持つかなり大きな島だ。
竜崎温泉が定休日だったことで、目的地は道の駅 サザンセトとうわに設定し直された。
サザンセトとうわは周防大島の細くくびれた北側の湾内に位置している。
地元の農産物や土産物を売るショップと、地産地消にこだわったレストランが併設されている。
といっても、レストランのメニューは店長お勧め定食とアジフライ定食をのぞけば、てんぷら定食、フライ定食、とんかつ定食、うどん、そば、稲荷寿司・・・と、原材料は周防大島産かもしれないが、どこにでもある食堂と変わらない。
パパはアジフライ定食を、私は店長お勧め定食を注文した。
メニューは変わり映えしなくても、刺身やてんぷらは美味しい。この辺は東京の適当な店とは大違い。
やっぱり山口の魚はハズレが無い。
レストランのバルコニーから見えるのは、瀬戸内海の小さな漁港。
穏やかな海に穏やかな島影。小さな漁船。
さっきから頭の中でぐるぐるエンドレスに回っているのは瀬戸の花嫁の歌だったりする。
「あっ、あの島、もしかしてガイドブックに載っていた真宮島かな」
確かね、干潮前後の2時間しか歩いて渡れない小島。どこかに恋愛成就のパワースポットとか書かれてなかったっけ?
「ほらほら、人がいるみたいだよ。今もしかして干潮なのかも。歩いて行けるんじゃない?」
「えー、違うだろう?」
「いやホントだって。行ってみようよ」恋愛成就はさておき。
サザンセトとうわのレストランのある二階からショップのある一階に降りたら、テレビ局がなんか取材していた。
カメラにTSSって書いてある。
後で調べたらテレビ新広島っていうローカル局だった。