それで厳島神社の入口に引き返したら、受付で「ここは出口じゃないのでちゃんと順路通りに進んでくださいね」と言われてしまったが、一応どうぞと出してもらえた。
そうか、一方通行だったのか。申し訳ない。
石段を昇って豊国神社の千畳閣へ。
ここは誰もいなかった。受付の人のみ。あんなに厳島神社は混んでいたのに。
千畳閣は元々は豊臣秀吉が戦死者の供養のために建立した経堂で、明治以降に秀吉自身を祀る豊国神社となった。
千畳と言うが、正確には畳857枚分の広さ。
建造途中で作られた秀吉が死去してしまったため、未だ未完成。よって天井や壁の無い部分がある。
靴をぬいで板張りの堂に入ると、その巨大さに圧倒される。
太い柱も梁に飾られた絵や文字もあまりに大きくて自分が縮んだような気がしてくる。
四方が吹き抜けになっていても陽を遮るそこはひんやりと涼しい風が吹いていて、外とは別世界のようだ。