「山口市を離れる前に瑠璃光寺にだけ寄ってっていいかな?」と私。
「いいよ」
瑠璃光寺もナイジェルさんに勧められた観光名所だ。
県庁所在地の山口タウンで最も著名な観光地だと思う。国宝である五重塔が特に知られていて、日本三名塔の一つにも数えられている。
山口市は大内一族が築いた都と言える。
周防と長門の守護職であった大内弘世が室町時代に京の都を模した町を作り、その後を継いだ義弘の菩提を弔うために義弘の弟 盛見が五重塔を建立した。
但しこの頃は瑠璃光寺ではなく香積寺という名で、香積寺は江戸時代初めに毛利輝元が萩に移し、その跡地に現在の瑠璃光寺が移転してきた。
大内氏は朝鮮半島や明とも関係が深く、一族は当時の日本の支配下にあったともされる古代朝鮮の百済国聖明王第3王子の後裔とも称していた。
瑠璃光寺の場所をカーナビに入れて、駐車場と記された方向に進んでいくと、香山公園の駐車場に着いた。
この時は瑠璃光寺も五重塔も枕流亭も露山堂も全部ひっくるめて香山公園になっているとは知らず、本当にここが瑠璃光寺の駐車場なのか悩んでしまった。
駐車場に車を停めて降りると、まず小さな池が目についた。スケッチしているおじさんが二人ほどいた。
池の横の石段を昇ると勅撰銅碑があり、さらに進むとうぐいす張りの石畳という場所に出た。
パパがここ知ってると言う。確かね、足を踏み鳴らすとこだまするんだよと。
そういえば私も前にテレビか何かで見たことがあるような・・。
そこはこう、3メートルぐらいの幅の石畳が敷かれた道が伸びていて、その先に二十数段の石段がある。
石畳の中央に視力検査の時に建つ場所のように足あとがペイントされていて、そこに立って足を踏み鳴らすといいらしい。
パパが足を踏み鳴らしてみたが何も聞こえなかった。
私もジャンプしてみたけど駄目だった。靴底がゴムじゃ弱いんだろう。
足は諦めて、両手を叩いてみた。
パンッ
・・ぅわんっ!!
わっ、びっくりした。一瞬の間を置いて、「ぅわんっ」っていう音が聞こえた。おっもしろーい。
この反響は意図して設計されたものではなく偶然の産物なのだそうだが、気付いた人もびっくりだね。
私たちが何度か試して遊んだあと、ちょうど反対側から女性二人組がやってきて、やはりジャンプしたり手を叩いたりしたが場所がずれていて鳴らない。
そこの足あとがペイントされている所に立つみたいですよと教えると、成功して大喜び。ヒールの靴で何度も音を立てていた。