浴槽は、1号湯、2号湯と表示がある大小二つのタイル張りもの。
源泉は町の湯泉共通らしいが1号湯は掛け流し、2号湯は循環している。
どっちの浴槽のお湯もほぼ無色透明。
とにかく手触りがにゅるんにゅるん。久しぶりに指の間をにゅるにゅるする感触が強力だなと感じた。
1号湯はゆでたまご臭がするかしないか程度で特にはっきりしたにおいは無いが、2号湯は流石に少し塩素による消毒臭がある。
そして1号湯は洗顔・飲湯禁止と書かれた湯口からお湯が出ているが、1号湯からあふれたお湯が2号湯に注がれる形になっていて、2号湯の湯口は乾いている。
あと2号湯は何故か浴槽内から中途半端に圧注浴風に注入している(圧注浴にしてはやけにジェットが緩い)。
で、洗顔禁止とあるのにみんな1号湯の湯口のお湯でばしゃばしゃ顔を洗いまくり。そういうものらしい。
湯加減はほどよく、湯治客が多いのか、壁には湯あたりしないように一回の入浴時間や一日の入浴回数など書かれた注意書きが貼られている。
そこそこ混雑していたが、ほとんど地元のお年寄りっぽい雰囲気。
浴室には少し湯気がこもっていて、お客さんたちのしゃべり声やカランを使う音が響き、それを聞きながらやっぱりここは観光地と言うより湯治場なんだなと感じた。
こういう雰囲気のところは少しずつ減っている。
だからこそ、いつまでも残ってほしいなぁ。
受付の横に飲泉所があり、ここは浴槽とは別源泉が引かれている。
味はわずかにゆで卵風で飲みやすい。
パパはもう先に宿に戻ってしまったので、雰囲気を楽しみながらゆっくり帰ることにする。
陽が落ちて、ぽつりぽつりと灯りが灯りはじめている。
お風呂道具を持ったおばあちゃんがゆっくり歩いていたりする。
行きにあんなに飛んでいたツバメの姿はもう見えなかった。
小学生ぐらいの男の子がすれ違いざまに「こんばんは」って恥ずかしそうに挨拶してくれた。
昔の温泉地はどこもこんな感じだったのかもしれない。