1年で一番日の長い季節だから、まだ外は明るいが、既に時刻は午後5時半だ。
一の俣温泉や油谷湾温泉にも興味があったが、まったく寄る時間は残されていない。
特に油谷湾温泉は俵山温泉に向かう道沿いだから楊貴妃伝説がどうたらと看板が立っていてそそるけど、しょうがない。
油谷湾を過ぎて新大坊という丁字路で海沿いの道から山側に曲がり、大坊川に沿った国道491号線を南下。
陽は傾きだんだんと薄暗くなってきた。
最初は綺麗だった道はいつの間にかひび割れのある簡易舗装となり、地図で見たらそんなに遠くは思えなかったのにかなり時間を食った。
そろそろだけど泊る旅館の場所はどこだろうと言われ、顔を上げるといつの間にか小さな町についていた。
三叉路のような変形交差点の角によろづやと言いたくなる土産物屋兼雑貨屋が一軒。
夕暮れ時の俵山温泉は昭和の初めで時間を止めたような雰囲気だった。