◆◇かみのやま・赤湯温泉外湯巡り◇◆
大人旅

3.かみのやま温泉駅

　辺りが雪景色になってきた頃から、それまでぬくぬくと快適だった車内もしんしんと冷えてきた。
　ショートブーツの上にレッグウォーマーを重ねる。
　だんだん山形が近づいてくる。

　切符は山形駅まで買っていたが、手前のかみのやま温泉駅で途中下車することにした。
　さっきも書いたが山形駅周辺で電車でアクセスできそうな温泉地というと、有名どころでかみのやま温泉、赤湯温泉、天童温泉が思いつく。
　一泊旅行なので初日に東京方面から見て山形駅より奥にある天童温泉に行って、翌日、手前のかみのやま温泉、赤湯温泉とはしごして東京に帰ろうかなと思っていたのだが、今日の午後から用事のあるパパが一湯だけなら付き合うというので最初はかみのやま温泉に行くことにした。
　三か所の中でかみのやま温泉を選んだのは、一番山形駅から近く、また温泉街も駅から近くて寄り易かったからだ。

　かみのやま温泉駅はそれほど大きな駅ではなかったが、結構大勢の人が列車を下りた。
　改札も一か所しかなく、パパは駅員に「途中下車でまだ切符を使うから」と頼んでスタンプを押してもらった。こうすれば温泉巡りの後、同じ切符で山形駅まで出られるらしい。とにかく電車の旅に疎い私は何もかもパパ任せ。

　駅舎にはコンビニが併設されていて、その手前に小さな観光案内所があった。
　だがしかしその案内所はカーテンで閉ざされている。開くのは午後になってからのようだ。なんとも呑気な。
　といってもほしかったのは外湯を記したマップ。
　これは観光案内所のカウンターにどうぞご自由にと置かれていた。
　これさえあれば何とかなる。
　私はそのマップを一枚貰うと駅の外に出た。
　煙草を吸いたかったパパは既に駅の外で待っている。