◆◇かみのやま・赤湯温泉外湯巡り◇◆
大人旅
時刻通りに山形新幹線つばさはホームに滑り込み、今朝指定席は買ったけど夫婦二人が通路を挟んで離れてしまった私たちは、自由席の方が空いているのを見て取りパパの意見でそちらに移動した。
写真を撮るには絶対に窓際の方がいい。
指定席が混んでいたのに対し、自由席はまだがらがらだった。
関東の空は快晴。
冬晴れの青空。
果てしなく続くビルばかりの平野の向こうに白い富士山。
きゃーきゃー言って富士山を撮る私にパパは一言。
「東北に向かうのに富士山を撮る気が知れない。安達太良山を撮るとかならわかるけどさ」
富士山が後方に遠ざかった後はしばらく高架から見下ろす街の景色が続いたが、いつの間にかまばらに雪をかぶった山々が近づいてきた。中央にひときわ目立つのは男体山か。日光連山だ。
やがて新幹線は宇都宮駅を過ぎ、今度は那須連山が近づいてくる。
那須を過ぎたらもう東北の入り口だ。関東平野はここまで。
北上するに従って雲が増えてきた。
雲が多くなると地上の色彩も灰色めいてくる。
いくつかめのトンネルを抜けると遠方の山だけでなく線路わきの地表にも雪が見えてきて、福島で連結を外し、進路を西に取ってからはもう雪がどんどん深くなる感じ。
福島までは新幹線の線路だったが、そこから先、山形方面へ向けては「よく新幹線なんて名乗るよな」とパパが言うくらい新幹線らしくない。もちろん在来線の線路をそのまま使っているのだから踏切はあるわ、速度は遅いわ、速度の遅さなんてその辺の特急はおろか、私鉄の各駅停車なみだ。
後から知ったが正式にはJRも福島から先の路線はそもそも新幹線と名乗っていなかった。単なる奥羽本線で、そこに新幹線の一部が乗り入れている在来線扱いらしい。まあわかる。
しかし、停止信号ですと言って無人駅のようなところで停まって、反対車線の各駅停車待ちをしたときには笑った。
新幹線じゃないと言っても一応新幹線もどきなのに、各駅停車を待つとはこれいかに。