◆◇家族でスキー◇◆
星野リゾート裏磐梯ホテル宿泊記
8.これまで入った中で最も過酷な露天風呂
スキー靴をぬぐと、いつもこんなに足って軽かったっけとしみじみ思う。
今回、自分のスキー靴を使わなかったので特に疲れたような気がする。
6時半に予約していた夕食時間も空きがあったので一時間早めてもらって、3階の客室へ。
四人部屋でお願いしていたので、部屋の作りは旅館の和室風。広く新しくて綺麗だけど特に特徴があるわけではない。ただ、お風呂は独立して広かった。広くても部屋のお風呂には入らないが。大浴場は温泉だし。
では早速温泉へ。
何しろ冷え切っていた。
浴室は一階。ロビーと客室へのエレベーターの間にある。
日帰り客も手広く受け入れているので(スキーシーズンなら裏磐梯猫魔スキー場のモバイル宝というのに登録(無料)すると、
星野リゾート裏磐梯ホテルの日帰り入浴料が1,200円から600円に割引になる)、浴室の手前にはソファーや自販機を置いたスペースもある。
ちょうどスキー帰りの客も多い時間帯なのでお風呂は混雑していた。
内湯は温泉を張った丸い浴槽と、透明で塩素臭の強いお湯を張った窓際の大きな浴槽の二つ。
温泉はよく黄金色と称されるはっきりとした茶色い湯で、透明な方も縁など染まっていることから以前は温泉を注いでいたこともあるのではないかと思った。
洗い場は壁に沿って並んでいて、浴室は一部途中に段差がある。シャンプー、リンス、ボディーソープはあけびエキス入りのものが設置されていた。
露天風呂は階段を下りたその下。
猛烈に寒い日だったので階段を下りるだけで勇気が要ったのだが、一刻も早くお風呂に入りたかったので洗い終わってからそのまま移動したらもう凍えること凍えること。
階段を降りたら二重になったドアがあり、そこから外に出ると四阿風の簡易な屋根を付けた岩風呂があった。
とにかく寒いので急いで入ろうとしたら、手前がとても浅くなっている。
浅くなっているし寒いので急いで奥へ奥へと進むと、どうしてもばしゃばしゃと飛沫が上がってしまい、先に入っている人たちに申し訳なく思う。
でも来る人来る人みんな同じだ。みんな一秒でも早く肩までお湯につかりたいので、騒がしい音を立ててお風呂の中を突進してくる羽目になる。
湯船の中ほどまで進んでようやく人心地着いた。
全体的にお湯はかなりぬるめだったが、それでも真ん中あたりは適温に近い。
湯中の複数のヶ所に源泉の注入口があり、その周辺の温度が高いようだ。
露天風呂は左右は雪が積もっているが、正面は開けている。雪の積もった木立があり、その向こうに雪原が広がっていた。そう、この露天風呂のすぐ先は凍った湖なのだ。
茶色いお湯は油系の臭いで東京あたりの地下深く掘ったら出てくる温泉に似ている。
ぬるめなので長く入っていられたが、後で後悔するほどにずっしりと効くお湯だった。
しかしこの旧裏磐梯猫魔ホテル、現星野リゾート裏磐梯ホテルの露天風呂は、ある意味これまで入った中でも最も過酷な露天風呂だったと言っても過言ではない。
凍てつく風に舞う吹雪が凍った湖上を吹き抜けまともに顔にぶつかってくる。
それはもう、細かいミクロの針になって皮膚を刺すかのよう。
最初は景色の良い正面を向いて入っていた人たちも、風を受けるうちにみんな両手で顔を覆うようになり、しまいには後ろ向きになって縮こまる。それほどに寒い。寒すぎる。というか、もう痛い。こんなに痛い露天風呂って・・・。
しかも気温が低いので、5分も入っていると髪が凍る。
触るとパリパリ言ってるよ。
なまじお湯がぬるめなので上がるのも勇気が要る。
何だか耐久レースみたいな湯あみだったが、長いこと入っていた分上がるときには首から上は凍りついていたような気がする。