ちょうど自分と同時に到着した人がいて、その人が入るなりざぶざぶと桶で中をかき回し始めたので、てっきり熱いのかと思ったら、それは底の泥というか、粉を撹拌するためだと判った。
その人は千葉在住、古式湯祭りは初めてだが塩原にはよく来るようで、ここのお湯は隣の白樺と同じ源泉だとか、白樺の浴室には温泉の泥があって、みんなそれを塗って乾かすと効く、だから長湯する人が多いとか教えてくれる。
二人で入っているとすぐにもう一人登場。
彼女は入る前にアヒルの温度計を取り出してお湯の温度を測り始めた。
話してみると、新潟在住の野湯好きで、さっきまで寺の湯にいたとのこと。
私が寺の湯の前を通った時に聞こえたのは彼女の声だったらしい。
7時のオープン時には10人ぐらいが到着していて、鍵が開かなかったので詳しい人が電話して鍵を受け取ってきて開けてくれたそうだ。
みんな温泉好き同志、必要に応じて気を使ってくれて、混浴でも安心して入れたとの事。
で、肝心の中の湯のお湯はというと・・。
建物は比較的狭い木造の湯小屋で、木の浴槽に灰色の濁り湯が入っている。
温度は43度と人によっては少し熱めと感じるかもしれないが、ほぼ適温。入っているうちにむしろぬるめに思えてくる。
下に泥が沈んでいて、同浴者がかき回してくれた後も、足の下に砂のように沈んでいるのが判る。
においはわずかに酸っぱさもあるが、マッチのような火薬系のにおいの方が強い。
入っているうちに肌はだんだんとすべる感じになる。
なんかいつまででも入っていられそう。
三人で秋山郷や野沢や草津の話などをした。
おしゃべりに夢中になって、ハッと気づいた時には長湯し過ぎ。慌てて外に出たら夫はとっくに上がっていた。
いきなり最初から待たせすぎたみたいでやばい。
お、怒ってる?