せんべいを食べて一息。
テレビを見ながら1時間ほど寛いだ。
「夕食どうする?」
時間はそろそろ6時半を回った。さっきも書いたように駿河屋は素泊まりのみなので夕食は自分たちでどうにかしなくてはならない。
もちろん食べに出てもいいし、買ってきてもいい。
廊下に電子レンジと冷蔵庫があったし、玄関のところに加熱できる湯沸かしポットもあった。
「居酒屋が近所にいっぱいあったから食べに出るよ」
そうは言いつつもパパは炬燵に根っこが生えているもよう。
昼食が遅かったこととせんべいが大きかったから中途半端にお腹も空いていない。
でもパパには外に出たい用事はあるにはあった。
何故かライターの火がつかないのだ。何回カチカチやっても。
ガスは十分入っているようなのに、なんでだろう。
煙草の煙は大嫌いな私としては火がつかないのは勿怪の幸いながら、パパとしては耐えられない。
それで外に出ると凍える寒さ。
完全に日は落ちて、頭上にはぼんやりとした満月。
風はまだ強く、時々突風が吹いて雪が舞い上がる。
湯畑まで歩いて湯畑横のコンビニでライターを買った。
ついでに「非常食も買っておいた方がいいよ」と私。
居酒屋に行く行くと言っても、絶対もう面倒くさくなるんだからさ。
結局お湯を入れて食べられるカップ麺とか、お餅スープとか、そんなのも買った。念のため。
そして帰ったらまた何故か部屋でライターがつかないの。
店で買う前に確認したのに、ガスもたっぷり入っているはずなのに、別に部屋の喚起が悪いとも思えないのに。
しょうがないのでパパは窓を開けて、窓から外にライターと煙草を出し、外で火をつけた。