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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*

11.なごみ家マスターの不思議なテンポ










 メニューは子どもの頃、暗記に使った単語カードのような止め方をしてあった。
 和紙に毛筆で洋風のメニューを書いてあって洒落ているけど読みにくい。
 でも注文前にマスターの一言で出鼻をくじかれる。
 「すいません、ご飯ものはまだお米が炊けていなくて・・・あと20分ぐらいかかりますけど」
 ・・・い、今が12時前だっていうならともかく2時もとっくに回っている。
 ご飯が炊けてないって・・・
 ちゅ、中途半端な。
 「それじゃあ、デザートを先に頼んで、食べている間にご飯を作ってもらうっていうのもありですか?」
 「あっ、はい。でも、何もかも一人でやっているのでいっぺんには出せないですよ」
 はあ・・・。


奥にいるのが不思議なテンポのなごみ家のマスター



 というわけで注文したのはパパがコロナビール、私が黒糖ババロア、レナがマンゴーレアチーズケーキ。
 ビールは流石にすぐ出てきたが、デザートは二ついっぺんに注文が入っただけでおたおただ。こちらからするとデザートなんて今から作るわけじゃなし、冷蔵庫で冷やしてあるのを皿に盛って出せばいいと思うのだが、マスターの慌てぶりを見るとそんなものでは済まないらしい。
 実際に席に届くまで5分以上かかったような気がする。
 単に手際が悪いのか。
 デザートを準備している間に料理の方も注文した。
 「とろ~り卵のオムライスひとつと、旬野菜と鶏肉のタイ風カレーひとつ・・・」
 「待ってください。タイ風カレーは今から作るの、難しいなぁ」
 へ!?
 「じゃ、じゃあ」気を取り直して、と「今日のきまぐれ日替わりご飯っていうのはできますか?」
 「あっ、それならなんとか」
 「内容は何ですか?」
 「タイ風スープカレーです」
 ・・・か、カレーはできるんじゃないのっ それならそうと最初から言ってよ。
 もうこのマスターとのやりとりは脱力するというか何というか。
 一筋縄ではいかない妙なテンポだ。








8-12レアチーズケーキと黒糖ババロアへ続く


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