海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*
看板に従って細い道を海の方に入る。
海に向かって突き当たりに民家のような店舗のような建物が一軒建っていた。
1階もカフェのようだ。むしろ海の見えるバーといった雰囲気だったが。
なごみ家は2階。外につけられた殺風景な階段を上る。
階段の上にはなごみ家と書かれた暖簾が下がっていて、倉庫の入り口か学校の非常口のようなこれまた殺風景な金属の扉が待っていた。
■左上 あの建物の二階がなごみ家だ ■右上 アカバナー
■左下 お尻を持ち上げたシーサー ■右下 なごみ家の下の階もレストラン
完全にドアを閉めてしまうと、いくらOPENという札を下げていても開けるのに勇気がいるからか、ドアは半開きになって木樽で押さえてあった。
こういう雰囲気の処、パパは敬遠するだろうか。
沖縄のカフェは子連れに寛容だというし、だいいち、なごみ家が掲載されていたガイドブックは子連れ旅行専門誌だった。いくらなんでも追い返されることはないだろう。
ドアをそっと開けると、目が慣れるまで中は薄暗く感じた。
決して広いとはいえない店内はテーブル席と座敷席に別れていて、座敷の方はほとんど海を向いて席が作られていた。
お客さんは2、3組。ほとんどがカップル。
入って直ぐ右手にカウンターがあり、ちょっと気の弱そうなというか、優しそうなマスターが一人で働いていた。
中はスリッパをはくようになっている。
スリッパも旅館などで出されるような無機質なものではなく、家庭のお客様向けスリッパという感じだ。
店内の雰囲気も同様。
洒落ているようないないような、ごちゃごちゃとしているようなしていないような、とにかく何もかもが拘りを持って意図的に配置されているのだが、それはどこか統一感に欠けて、ちょっと小洒落た一般家庭におじゃました時のような雰囲気を醸し出している。
座敷席に陣取った。
窓の外の景色は一級品だ。
穏やかな名護湾。
マンションの窓から毎日見慣れているはずなのに、ここではまたまるで違った様相を見せている。
7階の高見から見下ろさず、目の前にあるからか。
それともこの店の雰囲気のせいか。