海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*
海底から生えるように、ソフトコーラルが潮の流れに乗ってゆらめく。
色は地味目だ。
その影からすいすいと小魚たちが数匹の群になって現れ、からかうように泳ぎ去っていく。
チョウチョウウオも水納島のチョウチョウウオと違って餌付けされていないから、警戒心が強くて寄っては来ない。
逃げては現れる魚たちを追っていると、時間がどのくらい過ぎたかまるで判らなくなってしまう。
パパは子どもたちの相手をするために少しだけ海に入ったが、私がソフトコーラルの一群から戻って来ると、さっさと浜に戻ってしまった。
カナはまた魚のいるところに行きたがったが、レナが嫌がるので浅瀬で遊んだ。
「よーいどんで、あそこまで泳ぐよ」
「判ったー」
カナは水泳教師よろしくレナに指導中。
カナは今年の水泳授業で50mまで泳げる3級に合格した。
検定を受ける前に心配していたことと言えば、25mプールでターンしたことがなくて、どうやってやればいいのか判らなかったことぐらい。
レナはとりあえず9級。内容は「けのびで3秒より長く浮くことができる」。いくらなんでもそのレベルじゃないでしょと思ったら、先生が一年生は全員9級までしか受けさせてくれなかったとのこと。さもありなん。
気が付くとパパが撤収の準備を始めていた。
ビーチパラソルをしまって、シートを畳んで・・・。
レナを説得してもう一度三人でソフトコーラルの処まで行ってみようと思っていた私はチャンスをうかがっていたのに。
岸に上がると寒気を感じた。
パパにそう言うと、2時間以上海に入りっぱなしだったんだから当然だろうと呆れたように言われる。
そんなに長い時間入っていたかなぁ。
全然気が付かなかった。
今頃になって空が晴れてきて、海は本来の色に戻りつつあった。