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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*

1.ビーチよりどりみどり







 「虹色のトカゲだっ!」
 カナが叫んだ。
 「パパ、早く早く、あっ、逃げた、車の下に入っちゃったよ」





八日目 2006年7月23日(日)

 日曜日の名護には朝市が立つ。
 去年の旅行で偶然そのことを知り、今年もパパは早起きして出かけていった。
 一人きりで。
 沖縄に来てすっかり宵っ張りになってしまった子どもたちは朝が来てもぐーぐー寝ている。
 まさか眠りこけている娘たちを置いて大人二人が出かけてしまうわけにはいかない。
 ジーマーミー豆腐があったら買ってきてと頼んだが、帰ってきたパパが言うには今年は売っていなかったそうだ。
 「今年はあんまりほしいものが売ってなかった」
 じゃ、しょうがないか。
 まあそれはそれとして、今日のスケジュールも白紙だった。
 白紙は白紙で嬉しいものだが、気が付くと10日間の沖縄旅行も残すところ3日。
 しかも最終日は帰るだけだと思うので、実質2日を切っている。
 最初の予定では一日おきにビーチに行くことにしていた。
 グリーンフラッシュビーチ、水納ビーチ、古宇利ビーチと、一昨日までは順調に予定を消化してきたが、昨日が微妙だ。子どもたちだけ21世紀の森ビーチで遊ばせてしまった。あれをノーカウントとして今日も続けてビーチに行くだけの体力が彼女たちに残ってるだろうか。
 かといって、もう一ヶ所行きたい場所はというと・・・
 「ター滝はいつ行く?」
 「行かないよ」
 「えーっ、去年行けなかったから、今年こそは行こうと言ってたじゃない」
 「だってRyuさんがいろいろ秘密があるって言っていたじゃないか。専門の人に動植物のことを教えてもらいながら行った方がいいよ」
 ・・・そりゃそうだけど・・・。
 「とにかくター滝は行かない」とパパ。
 何か怒ってる?
 それとも機嫌が悪い?
 「・・・ビーチに行くとしたら、どこ?」
 待ってました、と私。
 「ビーチだったらね、昨日ピックアップしてみたんだけど、崎本部ビーチ、アンチ浜、済井出ビーチ、どれがいい?」
 「グリーンフラッシュビーチでいいんじゃない?」
 「えー、せっかくだからいろんなところに行ってみようよ。
 エントリー1番、まずグリーンフラッシュビーチに近い本島から選んでみました。崎本部ビーチ。塩川ビーチでもいいんだけど、なんか塩川の辺りは陸で工事していて五月蠅そうじゃない。ここはもしかしたら駐車場代300円ぐらいかかるのかも。でもグリーンフラッシュビーチの隣だから海は絶対綺麗で魚がいっぱいいると思う。
 エントリー2番、アンチ浜。去年行った瀬底ビーチは駐車場代1,000円も取られたしいまいちだったじゃない。アンチ浜は同じ橋で繋がれた瀬底島だけど無料のはず。ほら、瀬底大橋のたもとに見えた白いビーチよ。
 エントリー3番、済井出ビーチ。古宇利島に行くときに通る屋我地島のビーチ。橋から見えるところにも綺麗な屋我地ビーチがあったけど、あそこはちょっと入場料が高そうだから、もうちょっと先から選んでみました。ここなら入場料300円とお手頃。
 もっとマイナーなところもいろいろあると思うけど、一応売店や日陰のありそうな子連れに向いたところを探しましたー」
 「屋我地島でいいよ」
 「へ?」
 屋我地島の済井出ビーチは大穴だった。
 絶対、崎本部が本命、アンチ浜が対抗馬だと思っていたのに、意外。

 後から知ったが、この日パパは絶不調だった。
 体力が限界を過ぎていて、ばてきっていたのだそうだ。




名護の朝市




8-2パパの不調へ続く


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