14.本部町多目的イベント広場はどこですか?
日が長いので辺りはまだ昼間のように明るいが、どことなく陰りの見える港にて。
あちらこちらに明日の会場を知らせる垂れ幕があるが、今日の前夜祭に関する情報が無い。
まもなく6時だ。
早くしないと闘牛が始まってしまう。
渡久地港のオープンエアで飲んだくれている様子のおじさんたちが見えた。
「場所、判らないから聞いてきて」と、簡単に言ってくれるパパ。
「ええっ、あのおじさんたちにですか?」
「そう」
「怖いよ」
怖いっていうか、あのおじさんたち完全にできあがってるよ。からまれたら困る。
「あなたが行って来て」
飲んべえに道を聞くのは飲んべえに限る。
「いやだよ、怖いから」
いやだよじゃないよ。大の男が怖いと思うような相手に、妻に聞きに行かせようと言うの?
パパはしぶしぶ車を降りて聞きに行ってきた。
「ここじゃないって。橋の向こうで2キロぐらい先だって」
よく聞いてこられたなぁ。
「怖くなかった?」
「あのおじさんたちに聞いたんじゃないもん。アイスクリーム売りのお兄ちゃんに聞いたら親切に教えてくれた」
なぁんだ。