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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*

24.足の速いカニを追え






 誰もいない砂浜を懐中電灯で照らすと、時々さっと黒っぽいカニが海に逃げ込むのが見える。
 「見つけたっ」
 Ryuさんが一匹のカニを波打ち際から追い立てる。
 えっ、なになに?
 訳も分からずとにかく追いかける。
 何が何だか判らないうち、カニ捕物帖は始まった。
 「大きいぞっ」
 海に逃げ込もうとしたカニはRyuさんに阻まれて、砂浜を斜めに駆け登ってくる。
 浜へ逃げても逃げ切れないと思ったのか、カニは隙を見てターン。再び海へ走り抜けようとしたところをRyuさんのバケツがすくい上げた。
 「これはツノメガニと言います」
 みんなで青いバケツを覗き込む。バケツの底に大きなカニが一匹捕らわれていた。
 「目の上に角がついています。こうして持ち上げて・・・」
 Ryuさんはカニの甲羅をつかんで持ち上げ、手首を曲げて横向きにした。
 「横にしてやると、目の部分を仕舞います」
 ひゅっと飛び出した目の部分が甲羅にぴったりくっついて収納された。
 そしてRyuさんは砂を少し窪ませて、そのカニを砂の上に置いた。
 するとカニは凄い早さで6本の足を動かして、スクリューみたいに砂に潜った。
 深く潜ったわけじゃないから、甲羅が一部分見えている。カニはもう逃げ切れたと思ったのかぴくりとも動かない。
 「潜るときに目が邪魔になるので甲羅にぴったりくっつけて潜るんですね。こうなるともう捕まえるのは簡単ですよ」
 Ryuさんは見えているカニの甲羅の両側を軽く掘って、上下に注意して砂からつまみ上げた。
 「やってみる?」
 例によって臆病者のカナは後込みしたが、レナはチャレンジしてみた。
 小さな手でカニをつまみ上げる。
 「できたできた」


ツノメガニ  モンパの木のRyuさん撮影




コツが判れば簡単に持ち上げられるようになる。
目の上に角が生えているからツノメガニ。



 その後も何度かカニを追った。
 今日はやけにカニが多いな・・・と呟いたRyuさんは、砂浜に打ち上げられたハリセンボンを見つけた。沖縄ではハリセンボンはアバサーと呼ぶ。
 「これのせいか・・・」
 カニは砂浜に打ち上げられた魚などを餌にしているから、カニやヤドカリが多いと砂浜は綺麗に掃除される。
 もっと大きいツノメガニも見つけた。大きいけれど動きがあまり良くない。
 「こいつは目が悪いみたいだ」
 よく見ると、片目がつぶれているようだった。
 「これは逃がしてやりましょう」
 カニの穴も沢山あったが、どれも穴の主は深く潜っているらしく、足の見えるものはひとつも見つけられなかった。




浜に打ち上げられたアバサー




5-25天然記念物オカヤドカリの奇妙な事情へ続く


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