20.アオミオカタニシ
今度は本当にRyuさんが緑色のカタツムリを見つけた。
「カタツムリって言いましたけど、本当はこれはタニシの仲間なんです。
名前はアオミオカタニシ。
カタツムリとの違いは、殻の処に蓋が付いていることです。だから本体が出てくると、蓋の部分がおしりの処にくっついています」
ごく小さな殻をRyuさんが摘むと、殻の出口が透き通っているのが判った。
そのことを口にするとRyuさんは、「実はこのタニシの殻、透明なんです。中身のタニシの本体が緑色なのでそれで緑に見えるんです」と教えてくれた。
そしてそっと元いた場所にタニシを置いた。
そのときカナも私もほんの少しタニシが動くのを見た。
「動いた」とカナ。
Ryuさんも気づいたようだ。
「これは、もしかしたら出てくるかも」
そう言って、首に下げたカプセルのようなものから一滴、二滴、水を垂らした。
するとどうしたことだろう。
ゆっくりと透明だった殻の出口の部分に何かが動いて、にょろりとカタツムリのようなものが姿を現した。
「カタツムリの目は角の先についているでしょう。でもタニシの目は角の根元についているんです。ほら、見えますか?」
「かわい~い」とカナとレナ。
とっても小さいけど、つぶらな黒目という感じだ。そして確かに、殻の蓋の部分を殻の後ろにぶら下げている。
アオミオカタニシは何でこんなところに水があるんだろうという風に、ゆっくりゆっくりと這い進んだ。
「このところ雨が降らなかったから、久しぶりの水に喜んでいるんでしょう。水が無くなったらこいつはまた眠ります」
この後も何匹か、眠ったアオミオカタニシを見つけた。
こんなに沢山いるのは珍しいなとRyuさんが言った。