早めの夕食を終えて夜の8時。
全身に虫除けスプレーをつけ、持ってきた服や買ってきた靴下を利用してできるだけ露出度が少ないよう身支度を整え、トイレを済ませて出発した。
指定された待ち合わせ場所は名護市役所向かいの名護市民会館駐車場。
駐車場に入ろうとしたとたん腰につけた携帯電話が鳴る。
モンパの木のガイドさんかと思って取れば、自治会の電話連絡網だった。
「もしもし、夏休みのラジオ体操の連絡です・・・」
「すみません、今、旅先で、あと一週間は自宅に戻らない予定なんですが・・・」
電話の向こうで絶句している様子が分かる。聞くと明日から一週間行われる町会のラジオ体操にできるだけ子どもを出席させてほしいという内容の連絡だった。
とほほ、沖縄から帰る頃にはもうラジオ体操も終わっている。
しかも、
「ごめんなさい、次に回す人の電話番号も今ちょっと判らなくて・・・」
「判りました、私から回しておきます」
「本当にすみません」
ちなみに一週間後に帰宅して遅ればせながら学校からプリント一式を受け取ったら、そこに今年の自治会の連絡網が入っていた。何もかも手遅れだったが。
「もういらしてるみたいだぞ」
パパが指さす方に立っている人影があった。
「こんばんは」
日の落ちた暗い駐車場に立って待っていてくれたのは、今日お願いした夜の体験ツアーを案内してくれるガイドのRyuさんだった。
子どもたちの名前を本人たちに聞いた後、今日はどこへ行くと思う?とRyuさんが聞いた。
カナもレナももじもじしているばかりで答えない。
「山と浜と両方行きます」と、Ryuさん。
2時間でまさか両方とは思わなかった。いったいどんなツアーになるのだろう。
「始めに注意事項があります。よく聞いてね。
ひとつ、ぼくの話を聞くこと。
もうひとつ、懐中電灯で人を照らさないこと。懐中電灯の光を一度見ちゃうと眩しくて、暗いところが見えるようになるまで時間がかかるから」
そう言って、Ryuさんは小型の懐中電灯をひとつずつ配った。
そしてみんなを乗せると、早速最初のポイントへ車を走らせた。
【今回ご紹介するツアーに関しては、場所はいっさい明記いたしません。
判る人が読めば、どこなのか判るかもしれませんが、心ない人に気軽に荒らされてしまうことがないように、ここでは何も書きません。
興味のある方は、ぜひ
自然体験モンパの木の夜の探検ツアーに申し込んで参加してみて下さい。よろしくお願いします。】