9.野生マングース
「次はオリオンビール工場に行く?」と私。
「名護城が先でいいよ。子どもの遊ぶ場所があるんでしょ?」
名護城(なんぐしく・なんぐすく)は今回の旅行で既に訪ねた首里城や今帰仁城と違って、世界遺産にも指定されていないし目立った観光名所というわけでもない。
緋寒桜の季節だけは遠方からの観光客で賑わうようだが、日頃はむしろ名護市民の憩いの場といった雰囲気の場所だ。
何で子どもの遊ぶ場所があると思ったかというと、マンションに備え付けてあった名護イラストマップの城跡の処に桜と展望台の他、滑り台やブランコの絵が描かれていたからだった。
他の城跡同様、ひときわ高い場所にある。
この城に関してはあまり詳しいことが判っていない。各地に按司(あじ)と呼ばれる支配者が台頭していた頃、ここは名護の按司の居住地として栄えたようだ。
首里城のような復元された門や建物も、今帰仁城のような遺跡然とした城壁もない。
ただ全体が公園になっており、一番上まで登ると市街地と名護湾を見渡す展望台になっている。