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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*

11.デートと嘘






 水納島はよく晴れていたが、本部半島に戻ると大きな雲がひとつ空を横切っていた。
 「山の方は降っているかな」
 去年はときおりスコールに襲われたけど、今年は空も安定していてまだ雨に出会っていない。
 結局名護まで雨は降らなかった。
 こちらは海上も少し雲が多い。
 部屋から見下ろす名護の海も少し黒ずんで見えた。





 「お腹空いたな・・・」
 水納島に持っていったおにぎりは、ほとんど子どもたちに食べられてしまい、大人二人はあまり食べていない。
 「二人で食べに行くか」とパパ。
 「へ?」
 「子どもたちはあんまりお腹空いていないみたいだし、今は機嫌良く部屋で遊んでいるから」
 確かに子どもと外食すると食べた気がしない。
 騒がないかと冷や冷やし、食べ物も喉を通らない。そして騒ぎ出したら最後、一目散に食べ終えて店を出なくてはならない。
 といっても、大人だけで食べに行くって言えば、お腹が空いていなくても子どもたちは「ずるい」と言うに決まっている。
 「カナ、レナ、パパたちはこれから買い物に行ってくるから留守番していてくれる?」とパパ。
 「・・・やだ、一緒に行く」
 げげ。
 買い物嫌いのカナはこういうとき絶対一緒に行きたがらないのに、どういう風の吹き回し?
 「すぐ戻って来るから。一時間ぐらいだよ」
 やっぱり久しぶりのデートだと思って私がワンピースに着替えたのがまずかったのか?
 というか私は食べに行くとしても、買い物に行くとか一時間で帰ってくるとかそんなことを言うつもりは無かったのに。
 大丈夫なのか、そんな大嘘ついて、パパ。
 「ママ、この服可愛~い」とひらひらとワンピースを引っ張るレナも説得して、何とか部屋を抜け出した。
 行き先は創食屋 縁(えん)。
 このマンションからはエレベータを下りる時間を換算しなければ徒歩1分。








4-12スクガラスに挑戦へ続く


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