15.路上の桃売り
名護の手前の路上で桃を売っていた。
沖縄で桃?
沖縄と言えばマンゴーとかドラゴンフルーツで、桃と言えば山梨か福島じゃないか?
8個500円よりという立て看板が気になり車を降りると、売り手のおじさんが嬉しそうにこちらに目線を送ってくる。
「8個500円の桃って言うのはこれで、こっちに並べてあるのは一個600円ね」
破格なのは今にも腐りそうな形の悪い桃で、まともなのは高い。
おじさんはその中間の桃を差して、これなら一個200円だよと勧めてくる。
「こことか色が変わっているけど、他は綺麗な物だし、このくらいの方が旨いんだよ、みんな知らないけど試食用に使うのはこのくらい熟れたやつなんだ」
「・・・200円は高い」
「高くないって。ほら、これなんか良い桃だよ」
立ち去りそうとすると慌てて引き留めるが、値段をまける気はさらさらないらしい。試食させてもらった桃は美味しかったが、この値段なら山梨に行けば同じ味でずっと大きいものが手に入る。
おまけに「朝取りの桃」とは書いてあったが、箱には「九州産」
なんだ、沖縄産じゃないのか。
私が物色しているのを見て、他の車も停まった。
「甘いですかー?」
他のお客さんがやってきたのを潮に車に戻らせてもらった。ごめんねおじさん。