4.牧志公設市場を探して
去年の沖縄旅行では、那覇観光に当てた一日だけ雨が降った。
それも那覇を離れたとたん晴れてきたっけ。
だから那覇の町中は雨の印象が強い。
国際通りなんて水浸しだった。
那覇の牧志公設市場も去年行くつもりでいた。
でも土砂降りの雨に車を出る気にもなれなくて素通りしてしまった。
いつの間にかパパが狭い通りの時間貸し駐車場に車を入れようとしていた。
「ここから歩いて公設市場に行くの?」
「そんなに遠くないはず」
辺りの景色は昭和初期のノスタルジー漂う感じ。
日差しが強いので街路樹の落とす影が強いコントラストを産んでいる。
しばらく歩くとアーケードになった商店街に出た。
アーケードの屋根の部分に「サンライズなは」と書かれている。
角の電話ボックスの上にはシーサーが鎮座していた。
「ここどこ?」
手を引かれて歩いているカナが辺りを見回して言った。
「商店街」
「うちの近所と同じじゃん」
思わず苦笑。そう言われると実も蓋もない。
沖縄は本土といろいろ雰囲気が違うけど、それでも海外旅行に来た訳じゃない。商店街に並ぶ商品も見慣れたものだし、看板だって日本語だ。