7.切り札はニモ
何度目かにパパが一人でシュノーケルしに行った後だ。
「ニモ、見つけたよ」
「えっ、嘘っ」
「撮れてると思うよ」と、カメラを指さす。
まっさかぁ。
いくら何でもカクレクマノミがこんな浅いビーチのしかも遊泳区域内にいるとは思えないよ。
似たようなしましまの魚を見間違えたんじゃないの?
ハウジングごしでははっきりしないが、カメラの液晶で画像を確認してみると、確かにニモっぽい魚が映っている。
「何処で見たの?」
「あの辺」
私がまだ行っていなかったあたりだ。
「でももう見つかるか判らないよ」
本物のカクレクマノミだったらイソギンチャクから離れないはずだから、同じあたりにいるんじゃないかなぁ。
「どうかな。でも子供たちには内緒にしよう」
うん。
もう一度見つかる保証はないのに、ニモがいたとか言うと、見つかるまで騒ぐからなぁ。
しかし、そのあと結局ニモを探しに行く羽目になってしまった。
なぜなら・・・。