5.カモの住むビーチ
なんでビーチにカモ?
1羽、2羽、3羽・・・全部で9羽もいる。
「カナ、レナ、カモがいるよ」
「えー?」
子供たちが追いかけていくと、カモたちは右往左往して、トンネルに逃げ込んでしまった。
ちょうど国道の下を通って、道の駅の傍らにある小さな滝の水が海へ流れ出るようにコンクリートで固めたトンネルが造られている。
大人でも余裕で入れる大きさのそこは、下に淡水の泥水が溜まり、カモたちのかっこうの住処になっているようだ。
上の歩道から誰か降りてきた。
エプロンを着た女性、道の駅おおぎみの職員のようだ。
「カモ、いるかしら」
「はい、吃驚しました。あのカモたちここに住んでるんですか?」
「餌をやってるのよ」
女性は手に箱を持っており、その中にはおにぎりや太巻きがいくつも入っていた。
どうも道の駅で売っている食品が、賞味期限切れになるとカモたちの餌に変わるらしい。
女性はひとつずつ、ぽーんぽーんとトンネルの中に投げ入れた。
するとカモたちは水の中に落ちた餌に次々寄ってきておにぎりや太巻きをついばみ始めた。
「上げてみる?」と女性はカナとレナにもおにぎりを持たせてくれた。
「・・・ありがとう!」
二人とも大喜びで餌を投げ始めた。
まさかこんなところで餌付け体験が出来るとは思わなかった。
しかもカモだよ。
笑っちゃう。
そこへパパも降りてきた。
「何してるの?」
「カモの餌付け」
「???」
カナもレナも沢山餌をあげさせてもらって大満足。
見ると砂浜にも水かきのある足跡が一面についていた。