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美ら国訪ねて
*子連れ沖縄旅行記*

21.夕日に間に合わない



 名護に着いてから毎日七階の部屋から海に沈む夕日を見ていたが、今日はどうしても帰宅が間に合いそうにない。
 よく晴れていて、素敵な夕日が見られそうなのに。
 「21世紀の森ビーチで、落日を見ていってもいい?」
 「いいよ」
 パパはもう公園の駐車場はクローズしているかもしれないからと言って、いつも朝の散歩時に使っている外れの駐車場に車を停めてくれた。
 子供たちは降りないと言うので、大人だけで車を降りた。
 パパは子供たちを見ているというので、一人で桟橋のように突き出したところまで歩いてみた。
 もう太陽は水平線近くまで降りてきている。
 辺りには釣り客が少しと、それから何故か泳いでいる家族連れや、犬を泳がせている人も。
 そういえばベルビューの支配人が、地元の人は夕方泳ぎに来ると言っていた。
 昼間はクラゲ除けネットの外に近づくとすかさずビーチセイバーから注意の放送が入ったりするが、公園が表向きクローズすると、もう文句を言う人もいないので、みんな自己責任でネットの外で泳いじゃったりするらしい。




 太陽はゆらゆらと揺れるように水平線近くの雲で歪み、滲み、ついには三つの破片になって赤く染まった。
 角のように突き出した先端で、一人立ち、ゆっくりと空を見ながら回転すると、茜色に染まる広い世界が、水平線から水平線までの180度が、自分の上に降りてくるのを感じた。
 なんて贅沢な景色だろう。
 完全に暗くなるまで余韻に浸っていたいけど・・・子供たちが待っているから戻らなくちゃ。



6-22.新たな台風の知らせへ続く


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