21.夕日に間に合わない
名護に着いてから毎日七階の部屋から海に沈む夕日を見ていたが、今日はどうしても帰宅が間に合いそうにない。
よく晴れていて、素敵な夕日が見られそうなのに。
「21世紀の森ビーチで、落日を見ていってもいい?」
「いいよ」
パパはもう公園の駐車場はクローズしているかもしれないからと言って、いつも朝の散歩時に使っている外れの駐車場に車を停めてくれた。
子供たちは降りないと言うので、大人だけで車を降りた。
パパは子供たちを見ているというので、一人で桟橋のように突き出したところまで歩いてみた。
もう太陽は水平線近くまで降りてきている。
辺りには釣り客が少しと、それから何故か泳いでいる家族連れや、犬を泳がせている人も。
そういえばベルビューの支配人が、地元の人は夕方泳ぎに来ると言っていた。
昼間はクラゲ除けネットの外に近づくとすかさずビーチセイバーから注意の放送が入ったりするが、公園が表向きクローズすると、もう文句を言う人もいないので、みんな自己責任でネットの外で泳いじゃったりするらしい。