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美ら国訪ねて
*子連れ沖縄旅行記*

10.デリケートなお年頃



 お昼はビーチの売店で焼きそばとタコライスを買った。
 このときは知らなかったが、実は水納島のビーチで軽食などを売る行為は違法で、これら売店はみな違法業者だった。
 これまでも島内住民による営業施設などとトラブルを起こし、ついにはこの8月に全面的に営業停止勧告を受けている。
 島内業者は県の指示に従いビーチから撤退したが、島外の業者は聞く耳持たずのようだ。
 確かにビーチで飲食物が買えなくなれば不便は感じるが、それ以上に島の人たちの生活やこの綺麗な海を守るために、阿漕(あこぎ)な商売はやめてほしいと思う。

 阿漕と言えば・・・。
 パパが「ここは特等席なんだよ。斜め後ろにライフセーバーの監視台があるから、うちのパラソルより海側には他のパラソルは立てられないんだ」と言っていたのを適当に聞き流し、レナをトイレに連れていって戻ってくるまでの僅かの合間に、
 「な、なにあれ・・・」
 私たちのパラソルの真っ正面にどでんと大きな自立式タープが置かれていた。
 呆れたようにパパが言うには、
 「あいつら酷いんだよ、監視員がタープ置いて良いのはここまでですって言ってるのに、ここまで? ここまで? ここまではいいわよね、とか言いながら勝手にずらしてあそこに置いちゃった」
 沖縄の人は相手の善意に訴えるようにあまり強くは言わないから、結局押しの強い本土の人に押し切られてしまうらしい。


上 タコライス  下 ゴーヤーDRY 上 焼きそばを食べるカナ  下 沖縄シークワーサーチューハイ


 レナの水着のお尻のところにくっついた砂が面白くて思わずカメラを構えたら、すかさずカナが「あっ」と言った。
 「しーっ」
 レナにばれると五月蠅い。
 ところがレナはそれを聞いて、ママとカナとで何か内緒話をしていると勘違いした。
 常にママを独り占めすることを考えているレナは結局大暴れ。
 波打ち際に連れ出しても、怒って母の体に砂をかける。
 あーあ。

 そしてそれからしばらくして、もう30分以上経ってから母の膝に砂がついているのを見て、それどうしたの?と聞く。
 「さっき砂の上で膝をついたら砂がついた」
 これは本当。
 「・・・」
 「何?」
 独り言のようにうつむいて、「ママは嘘をついているんじゃないの? レナが可哀想だと思ってわざと違うことを言ってるんでしょ」
 最初は意味が判らなかったがすぐにピンときた。
 レナは母の膝に付いている砂が、さっき自分がかけたものだと思っているのだ。
 舌っ足らずな口調でベビーフェイスの五歳児が至極もっともらしいことを言うので思わず吹き出すところだった。
 いやいや吹き出してはいけない。
 本人、大まじめだし。
 傍若無人なくせにこんな風にやたらとデリケートなところがあるのがレナ。
 しかし本当にレナの掛けた砂だったとして、何だって私があなたにそんな気を遣わなきゃいけないの?
 遣わないって。
 レナなりの妙な思考回路に吹き出しながらも考えさせられた一幕だった。


デリケートなお年頃




5-11.バイバイ水納島へ続く


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