10.デリケートなお年頃
お昼はビーチの売店で焼きそばとタコライスを買った。
このときは知らなかったが、実は水納島のビーチで軽食などを売る行為は違法で、これら売店はみな違法業者だった。
これまでも島内住民による営業施設などとトラブルを起こし、ついにはこの8月に全面的に営業停止勧告を受けている。
島内業者は県の指示に従いビーチから撤退したが、島外の業者は聞く耳持たずのようだ。
確かにビーチで飲食物が買えなくなれば不便は感じるが、それ以上に島の人たちの生活やこの綺麗な海を守るために、阿漕(あこぎ)な商売はやめてほしいと思う。
阿漕と言えば・・・。
パパが「ここは特等席なんだよ。斜め後ろにライフセーバーの監視台があるから、うちのパラソルより海側には他のパラソルは立てられないんだ」と言っていたのを適当に聞き流し、レナをトイレに連れていって戻ってくるまでの僅かの合間に、
「な、なにあれ・・・」
私たちのパラソルの真っ正面にどでんと大きな自立式タープが置かれていた。
呆れたようにパパが言うには、
「あいつら酷いんだよ、監視員がタープ置いて良いのはここまでですって言ってるのに、ここまで? ここまで? ここまではいいわよね、とか言いながら勝手にずらしてあそこに置いちゃった」
沖縄の人は相手の善意に訴えるようにあまり強くは言わないから、結局押しの強い本土の人に押し切られてしまうらしい。