4.アメリカ生まれのA&W
お昼少し前。
子供たちが海から離れようとしないので、パパはファーストフードを買いに行った。
ちょうど泊まっているウィークリーマンションの近くに、ちょっとアメリカンな雰囲気の店があったというのだ。
その店の名はA&W。
アメリカ生まれのチェーン店で日本のファーストフードの草分け的存在。
ルートビアを発明したロイ・アレンのAとパートナーだったフランク・ライトのWをとってA&Wと命名され、今では本場アメリカでも懐かしがられるような古き良き時代のファミリーレストランになっているという。
ドライブスルーもあって、日本のマクドナルドのように一列に並ぶのではなく、駐車スペースごとにメニューとマイクがあって、車を停めて注文するとすぐに店の人が運んできてくれるシステムになっている。
パパが買ってきたのはおっきなハンバーガーひとつとトーストにいろいろ具を挟んだようなハンバーガーともサンドイッチともつかないようなのが二つ、さらに飲み物と揚げ物だった。
「ポテトと・・・これはイカリング?」
「オニオンリング」
「そりゃ失礼」
子供たちにはハンバーガーを半分ずつ食べさせようとしたが、何しろその辺の薄っぺらなのと違って巨大なので、とても手で半分になんて分けられない。
「カナ、先に半分食べて。残りをレナが食べて」と私。
「やだ」、と二人とも。
「なんとか半分に切って」とパパ。
無茶言うなぁ。
パパ、ほら、
スイス製の五得ナイフ持ってたじゃない。あれ、出して。
「ああ、そうだった、忘れていたよ」
こういうときに使わなくてどうする。
それでなんとか半分こ。