11.湯の家の貸切風呂
夜の散歩を終えて宿に戻ってから、ようやくお風呂に入ることにした。
湯の家のお風呂は男女別の大浴場の他、宿泊客専用の貸切家族風呂がひとつある。
予約や時間制限は無く、空いていればいつでも鍵をかけて入れることになっている。
このときは先客が居たので少し待つことにした。
やがて空いたので子供たちを連れて移動した。
よくある家族風呂というのは、小さいところは人一人サイズ、大きくても3、4人がやっとというところが多い。
湯の家の貸切風呂は大きかった。
場所によっては宿で一番大きな大浴場でこのサイズのところもあるというくらいの大きさだ。なんとも贅沢。
このときはまだ、自分は大浴場の方には行っていなかったので、パパに大浴場の大きさを聞いたら貸切風呂よりずっと大きいという。ただ何故か、宿のキャパシティの割にお風呂はいつも混雑していて、常に入り口には何組かのスリッパがあるという感じだ。
貸切風呂の脱衣所にもベビーベッドがある。こんなところも珍しい。
シャワーも3基ある。シャンプー、ボディーソープなどはやたらと沢山並んでいて、どれでもお好みのものをお使い下さいという感じだった。
お湯は結構熱い。
湯の家の温泉は自家源泉。敷地内に自噴する2本の源泉をブレンドして使っているという。
昼間の
中禅寺金谷ホテルと同じペパーミントグリーンの濁り湯だが、ずっと濃厚だ。鼻を突くほどの硫化水素臭に、粉のようなごく細かい湯の花。濁り具合は激しく足下はまったく見えず、肌触りにはきしきし感とともにすべすべする感触がある。そう、このすべすべする感触がさっきの金谷ホテルではまったく無かった。
湯口は二股に別れたパイプ状のものと、ライオンの顔と二種類有り、口からお湯を吐く精悍なライオンの口は析出物で白ひげ状のすごいことになっていた。
ライオンの上にコップが置いてあったので、味見をしてみると強烈に苦い。薬っぽい苦みの最後に少し渋み。粉っぽいテクスチャー。
思わず顔をしかめる私を見て、レナが一言
「ママ、何でライオンのよだれを飲んでいるの?」