16.明礬泉と硫黄泉
荷物を降ろしたら早速お風呂場探検に出かけてみた。
廊下を戻り、帳場の手前で右に曲がる。
すると紅葉と名付けられた部屋の入り口があり、そのさらに奥に何やら地の底へ降りるような階段が続いている。
階段を少し下りると、天井に表示が出ている。右手に明礬泉、階段のさらに下には硫黄泉があると木の板に書かれている。
まず右手へ行ってみることにした。
表示のすぐ右の扉がそうなのかと思ったら、これは鍵のかかった関係ない扉で、明礬泉の浴室は、もう何段か降りて右へ曲がったところだった。
いきなり薄暗い簀の子を敷いた洗面所のような場所に出た。
簀の子なのでこの手前でスリッパを脱いだものか迷う。
ここが浴室かとスライド式のドアを開けてみると、脱衣所に一組のスリッパと浴衣。どうも先客がいるらしい。
というより、ここは男湯? 女湯? それとも混浴?
迷ってもう一度外へ出てみると、女湯はさらにその奥だった。
危ない危ない。あやうくのぞいてしまうところだった。
明礬泉の女湯は無人だった。
浴槽は円を1/4に切った形をしていて、タイル張り。
狭く年季も入っているが、なかなかいい感じのお風呂だ。
湯口からは透明なお湯がそそがれている。
窓からは旅館街が見下ろせる。ここはまだ高い位置だが、硫黄泉の浴室はあの一番下まで降りるのだろう。