4.紫地獄と卵湯
雷の湯を過ぎるとすぐに木道の位置は低くなり隣を流れる沢と並行になってきた。
右手前方に蒸気の立ち上っている場所がある。
まるで誰かが積み上げたように岩がドーム状に重なった頂上部から噴水のように湯が噴き出している。
さらに近くにパイプが通してあって、そこから流れ出る湯だまりのところにパパがしゃがみ込み、パックから出した卵を入れて白いざるを沈めていた。
「確か7分で温泉卵ができるって書いてあった」
7分で卵が固まるような熱湯に手を突っ込むつもりはない。さらに湯だまりから溢れた分が流れていく浅いところでお湯に触ってみた。
「あったかいよ」
カナも触ってみて面白そうに笑っていた。