鳴子温泉巡り旅
もう一度坂の下に降りて直進。すると吹上温泉峯雲閣の看板が見えて道が二手に分かれていた。この角に「ご案内 地獄谷(吹上沢)」の表示有り。ここを左に入ればいいらしい。
今度こそ間違いない。両脇をわさわさと植物が生い茂る一本道を行くと、駐車場に着いた。右手に木の階段がついていて、木道の渡された遊歩道に降りられるようになっている。朝早いから人の気配はない、ただ鳥の声が聞こえるだけ。
パパは遅れを取り戻そうとずんずん歩いた。フリースのスエット姿のカナはそれを見失うまいと続く。しんがりは私。
木の板を渡してある木道は朝の雨でぬれて滑りやすい。
遊歩道の周りは人の手を寄せ付けまいとするように密集して植物が茂り、しかもところどころから湯煙が湧いている。
木の橋で沢を渡ると、「熱湯です。手や足を入れないで下さい」と書かれた立て札があり、ぽかりと穴が開いている場所があった。のぞきこんでみたけれど、湯はもう枯れているようだ。もしかしたら季節的なもので雨の後などには湧くのかもしれない。
他にもあちこちに湯が溜まっていそうな穴や蒸気の噴き出しそうな穴もあったが、ほとんど遊歩道脇のものは枯れていた。
でもちょっと道を外れた辺りには今ももくもくと蒸気の出ている場所があちこちにあり、私たちの歩く地面のすぐ下は今も生きた地球が脈動しているのだなと感じることができる。
遊歩道のすぐ脇を沢水が流れていて、近づけないけどたぶんこの水は冷たくは無いだろうと思った。
何やら地の底から鳴り響くような音が聞こえてきた。
パパはもう先に行ってしまい、カナが立ち止まって怯えている。
立て札には「雷の湯」
近づくと、遊歩道のすぐ脇、思いっきり手を突っ込めるようなところに小さな穴があって、そこからまさしく雷鳴のような轟音が響いてくる。
ここはまだ生きている。
湯が噴き出しているのが見える。危険だからもちろん手を突っ込んだりはしない。
ぼこぼこ湧いている湯は木道の下を通って沢へ流れ込むようになっている。
それにしても思わず耳を塞ぎたくなるようなこの音、今にも地面が爆発して巨大な噴水のように熱湯が吹き上がるんじゃないかと怖くなる。
湯気で巧く撮れていないけど、ここが雷の湯。
本当に雷が鳴っているような凄い音が聞こえる。