鳴子温泉巡り旅
「カナ、温泉卵を作りに行ってみる?」パパが誘った。
「うん、行く。どこで作れるの?」
「このキャンプ場から10分ぐらい歩いたところの温泉で、卵が茹でられるらしいよ」
そういえば吹上高原キャンプ場のあちこちで、「徒歩10分 地獄谷(遊歩道)で温泉卵が作れます」という表示を見た。売店が開いている時間なら420円で温泉卵作りキットさえ手に入れることができる。三年前も気になっていたがあのときは作る余裕が無くて諦めた。
「卵は?」
「昨日スーパーで買ってきた」
さすが用意がいい。
そしてパパはプラスチックのざるを持ってきて、「これに卵を入れて沈めようと思うんだけど、持ち上げるときどうしよう・・・」と悩んだ。
「紐を結んでおけば」
「ふむ」
とりあえず卵をパックごと紐をくくりつけたざるに入れる。これで準備はOK。出発だ。
雨上がりの朝のお散歩。
野の花も露できらめいている。
シンとしたキャンプ場の受付横を通り、一般道に出て右に折れた。
パパ、道順、判ってる?
それから左に見える車道を上る。かなり急な坂道だ。本当にこっちかな、もう10分ぐらい歩いている気がするのにそれらしいものが見えてこない・・・と思っていたら先頭を歩いていたパパが引き返してきた。
「ごめんごめん、間違えたらしい」
後で確認したらこの車道は片山地獄に通じていた。